約 3,642,951 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3029.html
注意点 ゆっくりエンザの人の『ゆっくりいじめ系2051 みんなの幸福まりさの不幸?』からの設定を一部拝借しています 「4232132」 「…423、2132。次」 「3221121」 「…322、1121っと。次」 「3331212」 「…333、1212。次」 少し薄暗くて狭い空間に男二人が沢山のゆっくり達がつまった段ボールに座って作業をしている。 明るい照明と内装のゆっくりショップの店内から一枚壁を隔てた奧の部屋で男達は奇妙な数字を言い交わしていた。 厳密に言えば一方の男が数字を言い、それをもう一方の男が復唱しながら機械にその数字を打ち込んでいるようだった。 先に数字を言う側の男は次から次に段ボールからゆっくりを取り出しては数字をそらんじているようだ。 段ボールから出されたゆっくりは重なり合っていて狭苦しい場所から解放された喜びと独特の浮揚感に頬を綻ばしていたが男達は反応しない。 自分がとてもゆっくりできているのにどうしてゆっくりしないのかととすぐに機嫌を害していたようだが、 すぐさま隣の段ボールに移されまた狭苦しい環境に逆戻りしてあっという間に境遇を嘆いていた。 いちいち感情をころころ変えるゆっくり達に反応していてはこの仕事はやっていけないのだ。 もはや慣れた手つきの流れ作業で男はゆっくりを掴みだし、ある個別の数字を読み上げ、そして別の箱に移す。 客の少ない間にブリーダーから店側に卸されたゆっくり達の選別作業と情報登録を済まさなければならないこともあり、一連の作業は素早く行われていた。 「ふー、ようやく終わったか」 「お疲れ様。今回はちょっとハズレが多かったすね」 「もう今度からあのブリーダーへの発注は止めとこうな」 「当たりも[きれい好き]れいむと[物知り]まりさだけじゃなあ」 「野生でも野良でもそれくらいいるってーの。話にならん」 休憩がてら店の裏手で生まれたての赤ゆをつまみつつお茶を飲みながら愚痴りあう男達。 ゆっくりを見て数字をそらんじていた男は今回入荷したゆっくりのリストを渋い顔をしながら眺めていた。 飼いゆとしてはぎりぎりの水準のレベルであるゆっくり達ばかりでこれからどう販売していくかを考えると頭が痛かった。 男がそらんじた数字、それはゆっくり達のステータスをある基準で数値化したものだった。 数字はそれぞれ[人格Lv]、[身体能力Lv]、[しつけLv]、[耐水性Lv]、[歌唱技能Lv](まりさ種なら[渡水技能Lv]等)、[絶食耐性Lv]、[知能Lv]である この男はゆっくりを触ればそのゆっくりのステータスが分かる程度の能力を保有しているのだ。 ゆっくりがこの世に出てくるまではまったく意味をなさなかったその能力は今こうしてゆっくりの状況を把握するうえで大活躍している。 人語を話す癖にコミュニケーションはほとんどまともにとれない不思議生物に対して、 直感的にその様子を手に取るように分かるのは便利以外の何者でもない。 男達が行っていた選別作業は店に出すのもそうだが販売するゆっくりのデータベースを作る役割も兼ねていた。 それまでゆっくりを飼いたいと思う客に対して曖昧な販売基準と適当な価格設定だったものが、この男の手により確固たる販売形態へと生まれ変わったのだ。 客側からしてみてもそのゆっくりの性格やら特徴などはっきり分かるので安心して購入できるというものだ。 男は睨んでいたリストから顔を上げると隣の男に告げた。 「とりあえずステータス下位層のゆっくりは入り口正面のケージで投げ売りにしよう。 そうでもなきゃ加工所に持って行ったほうが早い」 男は今回は利益無視の特価での販売を決め込んだ。お得意様の一部には喜ばれるに違いない。 それが次回以降の利益に繋がればいいのだ。 「今回は実験は行わないんです?」隣の男は一応とばかりに尋ねる。 「特にしたいこともないし、今はうちのゆっくりで忙しいからな」 「そういやようやく生まれたんでしたっけ? ゆっくりてるよの子供が」 「ほんとようやくって感じだな。これがまた親に似て可愛いのよ」 その姿を思い浮かべるだけで男の表情は緩んでしまう。 「店のゆっくり共に見せたいぐらいの馬鹿顔になってますよ……」 「あいつらは正直駄ゆっくりだ。商品じゃなきゃ無視してるレベルだよ」隣の男の台詞に再び渋い表情に戻った。 「まったくその落差はひどいもんっすね。もちろんてるよの子供は店には出さないんですよね?」 「当たり前だ。相場の十倍積まれても手放す気はないぞ」 「十倍っててるよってだけで何十万クラスじゃないっすか……。俺なら売っちゃうなー」 「そもそもお前じゃ飼えないだろうが」 「まあそれもそうっすけど」 そう言う苦笑いする隣の男はさっさとゆっくりとお茶を胃に流し込んで店内に戻っていった。 これ以上話を続けていたら飼いゆっくり自慢を長々とされることを経験上理解していたからだ。 話相手もいなくなったゆっくりのステータスを手に取るように分かる男は、 家で待つ飼いゆっくりの様子を思い浮かべながら一人不気味ににやけていた。 そして最後に残った赤ゆを一口に飲み込んでは店に戻っていった。 やはり最後のゆっくりは格段の美味しさを誇った。 その男の稀有な能力は店でゆっくりを売るときはもちろん、家でゆっくりを飼うときも存分に役立っていた。 特にゆっくりてるよ相手にはこれでもかというほど役立つ能力である。 通常ゆっくりてるよは人に懐かない。 それは人間側に問題があるからだ。 てるよは他種のゆっくりと比較すると驚くほど言葉数が少ないことがわかる。 あのとげとげしく耳に触るほどの大声で喋らないどころか必要なことまで「めどい」の一言で飼い主に伝えないのだ。 お腹が減った。遊んで欲しい。お風呂に入りたい。あれがほしいこれがほしい……。 そんなてるよの要求に飼い主は応えないため、てるよが愛想を尽かし出て行ってしまう。 どんな人間でもまずそれを止める事は出来ない。 なぜなら満月の夜に月の明かりに照らされ壁や扉をすり抜けて野生へと戻ってしまうからだ。 そんなてるよですら男は手なずける事に成功した。 それもこの男が持つ能力のおかげである。そしてついには繁殖まで成功してしまったのだ。 男は定時に仕事を済ますと挨拶もそこそこに寄り道もせずに家に向かった。 あまりの可愛さに一時も飼いゆ達と離れたくないのだが働かないと暮らしていけないのも事実なのでやむなく離ればなれになっている。 その為仕事が終われば一目散に帰宅するのがここ最近の日課となっていた。 幸い男が勤める店から家までは歩いても10分と近距離にあるため仕事以外の時間はゆっくり達といることができた。 それでも家を離れる間は飼いゆっくり達だけとなり不安である。 家屋への野生ゆっくりの侵入は後を絶たないし、自宅のガラス窓のすべてを強化ガラスにまだし終えていないからだ。 そしてこの日男の不安は見事的中する事になる。 「ただいまー」 男が自宅に戻ると帰宅の挨拶をする。 いつもならここで飼いゆっくりの一匹であるちぇんが出てくるはずだが一向にその姿を見せない。 静まりかえった室内からくるどこか騒がしい物音を聞き分けると男は異変を感じ取った。 やられた、男がそう思ったのはリビングの窓が破られてガラスが四散しているのを発見したときだ。 荒らされた家具とある方向に向かって伸びている泥の跡をみて胸が締め付けられる。 急に跳ね上がる心拍数は男が大事にしている飼いゆ達の安否が気になったからだ。 外からの侵入者のことはこれっぽっちも気にも留めてなかった。 ひとまずあいつらが無事でいてくれたらそれだけでいい、男の心はそれだけでいっぱいだった。 男は侵入者の足跡を辿りながら、リビングから離れた位置にあるゆっくり達が普段くつろいでいる部屋に静かにその足を進めた。 下部にゆっくり用の入り口が開けられているドアのノブをゆっくり回すとそこには見慣れぬゆっくりがぞろぞろといた。 その部屋に男が入ってきた事に気が付かないでいて、部屋に鎮座している和風ゆっくりハウスDX(家族用)に向かって何やら叫んだり体当たりを繰り返している。 「ゆっくりしてないでこのいえからでていってね!!」 「「「でていってね!!」」」 ゆっくりハウスの前で大声を張っていたのは成体サイズのれいむとその子供と思われる子ゆっくりサイズのれいむ二匹とまりさ一匹だ。 そして男の飼いゆっくり達はどうやらあのハウスの中に逃げ込んでいるようだった。 それでもまだ本人達の姿を見るまでは安心できない。 男はれいむ一家を無視してゆっくりハウスの元に向かった。 「ゆゆっ!! おじさんどこからきたの? れいむたちのゆっくりぷれいすからでていってね」 「「でていってね!!」」 「まりさにあまあまちょうだいね!!」 男がゆっくりハウスの側に立ったとき、ようやくれいむ達は男の存在に気が付いたようだった。 それほどこのハウスに意識を集中させていたようだ。どうもこのゆっくりハウスにはゆっくり達を熱中させて止まない何かがあるらしい。 そんなれいむ達を完全に無視して男はゆっくりハウスの屋根を大胆にも取り外した。 その様子を見てハウスを壊されたと誤解してか、れいむ達はゆがーんと固まってしまった。 「てるよ、ちぇん無事か!?」 「わかるよー、みんなぶじなんだねー」 「それは良かった。ちゃんと言いつけは守ったんだな」 「みんなでここににげたんだよー」 突如開いた天井を不安そうに見上げていたてるよとちぇんは男の顔を見てホッとした表情を見せた。 それでもてるよとその側にいる子供達二匹は震えが止まらない様子だ。 「みんなには心配をかけてすまなかった。でももう大丈夫だからな」 「あんしんなんだねーわかるよー」 てるよも声には出さないが「よかった」と言っているようだ。 念のための確認で飼いゆ一匹一匹を持ち上げて状況を確認する。 「[腹ぺこ][いらいら]か、お腹が空いてるんだな。あとでゆっくりごはんにしような」 まずはてるよの基本的なステータスを確認した。満腹度の低下とストレスの上昇が見られるがあとはいつも通りくらいだ。 男は一応てるよの他のステータスを確認する。 「[令嬢][跳ねない][賢者][美肌][不感症][喋らない][常時睡眠][親愛]」無事普段のステータスだった。 もしゆっくりショップの誰かがこのステータスの羅列を聞いていたら卒倒するだろう。 [てるよ種]という稀少さに加えてこれだけ多くのプラスステータスが加わればとんでもない値段になるからだ。 「ちぇんも確認しておこう。おいで」そういって男はちぇんを目の前まで持ち上げる。 「[一般常識持ち][狩りが得意][偏差値50][タチ][四六時中大声][飾りは飾り][親愛]。ちぇんも問題なしだな」 「わかる、わかるよー」 ちぇんもてるよには劣るがそこそこのステータス持ちである。 好感度ステータスの[親愛]からは男の飼いゆへの溺愛っぷりが見て取れる。 一方その頃男の足下で固まっていたれいむ親子がようやくショックから立ち直り動き始めた。 「どうじでおいえこわじだのおおお」 「「ゆっぐりやべでね!!」 「ゆっぐりでぎないじじいはじね!!」 まったく野生のゆっくり共は一旦動き始めたら騒々しくて堪らない。 男は優しそうな表情から一転、虫でも見るような眼差しでれいむ達を見下ろした。 「なんだまだいたのか。さっさと出て行ってよ。ここは俺とてるよ達の家だからさ」 「なにいっでるの゛!? ごごはれいむ゛だぢのゆっぐりぶれいずっていっだでしょ!!」 「はぁ、あっそう」 男はれいむのあまりの野生のゆっくりっぷりに溜め息をつく。 こういうゆっくりは相手をするだけ無駄というのは重々承知しているのでそうそうに家から出て行って貰う事にする。 「今なら許してやるから出てけ」 そう言って親れいむを持ち上げて部屋の窓を開ける。 するとこの瞬間男の表情が歪む。 男の能力の面倒なところは別にその気は無くても触るだけでそのゆっくりのステータスが分かってしまうところだ。 自分でコントロール出来ないためれいむに触れた時点でれいむの状況がわかってしまう。 「もうほんと絶望的なステータスだな。[わがまま][のんびり屋][餡子脳][四六時中大声][飾りに傷][かすり傷]か」 このステータスのゆっくりではゆっくりショップに来たら間違いなく即加工所送りである。 別に知りたくもないれいむのステータスを知ってしまい男はますます気が滅入る。 「まったく、こんな駄ゆっくりは投げてしまいたいなあ!!」 「おじざんやべでね!! れいむをなげないでね!!」 「おかーさんずるい!!」 「れいむもれいむも」 足下では子れいむ達が母親が人間に遊んで貰っていると勘違いしてこれまたうるさい。 そして子まりさに至っては何故か男に怒っていた。 「ばでぃざをむしずるじじいはごうじでやる!!」そういって効果のない体当たりをかましてきた。 まりさが男の足に体当たりをするとまりさと男は触れたと同義であり、男はこれまた知りたくもないまりさのステータスを知らされる事になる。 「もう勘弁してくれよ。[ゲス][暴れん坊][餡子脳][四六時中大声]……、[他ゆの飾り]?」 なんだこれと男は一旦親れいむを床に置き子まりさを持ち上げる。すると今度は親れいむが男に体当たりをし始めた。 男はそれを無視してまりさのステータスを確認するとやはりおかしなステータスが一つ存在した。 「おいれいむ、このまりさはお前の子供か?」 「ぞうだよ!! ばでぃざをゆっくりおろじでね!!」 親れいむはこのまりさを自分の子供だと言った。だが飾りステータスが[他ゆの飾り]なのだ。 「おいまりさ、この帽子どうした」 男はつまみ上げていたまりさのその帽子を指さしながら言った。 すると男の手の中で暴れていたまりさはあからさまにギクッと驚いてみせた。 「し、しらないんだぜ。まりさはなにもしてないぜ」 まりさは急に態度を変え大人しくなった。それは誰がどうみてもまりさは嘘をついている姿に他ならない。 野生種ならではの狡猾さが見て取れ、男は頭を抱えながらさらにまりさに問うた。 「なら質問を変えよう。お前の前の帽子はどうして無くなった?」 「おねーちゃんのありすとあそんでいるときえださんにひっかかってぼろぼろになったんだぜ。どうしてじじいはなくなったことしってるんだぜ?」 まりさは帽子を無くしてしまったのをなぜ男が知っているのか心底疑問に感じたようだが、それを男は無視して続けた。 「そしたらまりさ、どうしてその帽子が新品なんだ?」 「ゆゆっ、それは……」 子まりさが返答に困ったとき男が思いついた事実であろう推測をこのまりさにぶつけてみる。 「それは本当の持ち主から奪ったんだろ」 「ゆ゛ゆ゛っ、どういうことなのまりさ!!」 「ち、ちがうんだぜ。でたらめだぜ」 「お前はいつからそこのれいむの子まりさとすり替わったんだよ」 「おじざんっ、まりざはまりざじゃないの!?」 「ああ、お前達は気付いていなかったようだが中身が変わってるよ」 「ゆがーん」 「「まりざおねーちゃんはどこいっだの!!」」 れいむ達の衝撃は大きい。いつの間にか自分達の家族であったまりさが中身が変わっていたのだ。 それに気が付かず生活をしていた自分達もそうだが、のうのうと暮らしていた知らないまりさにもショックを受けた。 子れいむの一匹はあまりの出来事に餡子を嘔吐して痙攣しはじめた。 「大方元の持ち主のまりさを殺して奪ったんだろお前のステータスをみりゃ見当が付く。 それにありすおねーちゃんってお前の親はまりさとありすって言ってるのと同じだよな。 やっぱりこのれいむの子供じゃないんだろ」 「ゆがあああああ!! どぼじでぜんぶいっぢゃうのおおおおお!!」 「やっぱりしらないまりさっだったのおおお!! うちのまりさをがえじでええええ!!」 「れいむおねーちゃんしっかりしてええええ」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 もはや阿鼻叫喚地獄絵図である。 これ以上叫ばれたり部屋を汚されるのは勘弁してほしいので四匹には窓から退場してもらった。 当然言っても聞かないので男が家の外へと放り投げる形ではあったが。 男が窓を閉め切る寸前には親れいむの罵声と餡子の飛び散る音がした。 ようやく一騒動が片付き、男は飼いゆっくり達に目を向ける。 警戒しながらハウスの扉を開けて、ちぇんが先導しながらてるよと子供達が部屋に出てきていた。 「しずかになったんだねー、わかるよー」 ゆっくりショップで購入できるゆっくりハウスの扉は、当たり前だが内から外に開く形になっている。 これは外から押しても扉は開かないことを意味し、頑丈な作りにしておけば頭の悪いゆっくりには一生開けられない屈強な壁となる。 この安心設計のハウスはとてもゆっくりできると巣を持たない飼いゆっくり達には好評で、 その中で寝るとストレスや体力の回復が早まる効果もあることを男は確認している。 「……おなかへった」 「そうだったな、さっそくご飯にしようリビングにおいで」 野生のゆっくりの侵入を許してしまい、そのせいでみんなのご飯の時間が遅れてしまった。 男本人も空腹を覚えていたため、てるよとその子供達を両手に抱えてゆっくりの為の部屋をあとにした。 あとがき どうもゆっくりっち製作者です。 ゲーム内の人間はこんな能力を持っているのよって訳でSSを書いてみました。 べ、別にゲーム製作に行き詰まったとかじゃないんだからね!! 最後になりましたが勝手にSS内の設定を拝借してしまって、ゆっくりエンザの方すいません。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1591.html
※このSSは、ゆっくり虐めSS「赤い靴」よりお借りした設定が含まれております キャベツ 「むーしゃーむーしゃーしあわせぇ~♪」 ここは人間の畑、植わっているのはなんとも大きく瑞々しい立派なキャベツ。 そこで食事をしているのは1匹のゆっくりれいむ、ソフトボール程の大きさから見るにまだ子供だろうか。 「ゆゆーん、ここはとってもゆっくりできるよ! なんでみんなこないんだろう?」 群れのゆっくり達は人間の恐怖を充分理解している。そのため不用意に人里に近づくような愚は冒さない。 しかし、どのような賢明な集団においてもそれに背く者は出てきてしまう。 このちっこいれいむも例にそぐわず、比較的利口な群れのゆっくりにおいては馬鹿な部類であった。 もっとも、れいむ自身に悪意は無く決して人間を馬鹿にしていたり、あるいは群れや家族に対して反発しているわけでもない。 ただそれらを理解するにはあまりに経験が少なく、また純粋でありすぎた。 そのため好奇心に勝てず単独で人里へとやって来てしまったのだ。 そうしてれいむは人間の畑へと辿り着き、そこで見つけたおいしい野菜に夢中になった。 森の中ではこんな丸い変わった草なんて見たこと無い。 なんだか良い香りもする、食べられるだろうかと口にしてみた。 するとその葉はなんとも柔らかく甘いではないか! いつも食べている草に比べなんとおいしいことだろう! れいむはあっという間にキャベツの虜になってしまった。 そうして今へと至る。 「けぽぅ・・・いっぱいたべたらなんだかねむくなってきちゃったよ・・・」 キャベツにはメラトニンと言う物質が含まれており、これには睡眠作用があるそうな。 ゆっくりにホルモンが効くかはわからないが先程までの興奮による疲れ、そしてたらふく食べた満腹感かられいむは睡魔に襲われた。 「ゆ! いいことおもいついたよ!」 そう言うとれいむはキャベツの外葉をめくり、中をくり抜き始めた。 そうして出来上がった中が空っぽのキャベツ、この中にゆんしょゆんしょと潜り込み外の葉を戻し蓋をした。 即席のベッドといったところか。キャベツの中は適度にヒンヤリとしており、また程よい弾力を持っていた。 「さすがれいむ、てんさいだね! これでゆっくりねむれ・・る・・よ・・・・・zzz」 こうしてキャベツに包まれたれいむは何とも言えぬ幸福感に満たされ、深い深い眠りへと誘われていった。 「お、ここの畑も良い出来だな!」 数分後現れたのはここの畑の主人、今はまさしくキャベツの収穫期なのである。 テキパキと手馴れた様子でキャベツを収穫していく男、この瞬間が農家にとって努力の報われる至福の瞬間なのだ。 そうこうするうち、男の手はれいむの眠るキャベツへと近づいてゆく。 そして・・・ 「よっと! こいつもズッシリしてやがる、中身の詰まった良いキャベツだな!」 気付かずに男はれいむごと収穫してしまった。 一方れいむもよもや自分が収穫されるとは露にも思わず、涎をたらして夢のなかである。 そうしてれいむは他のキャベツ達同様に出荷されていくこととなった。 数時間後・・・ 辿り着いたは町の洋食屋、れいむキャベツはここへと卸されやってきた。 時刻は夕刻、調理場はディナーの仕込みに大忙しでまさに戦場である。 まな板の側に詰まれたキャベツ達は目にも留まらぬ包丁捌きであっという間に千六本へとその身を変える。 いよいよれいむキャベツの番となった次の瞬間 「よし、千切りはこんなもんでいいだろ。 残りの分スープに回してくれ。」 「わかりましたー。」 こんなやりとりを経て、間一髪れいむは細切れになるのを免れた。 しかし、ここで切られてしまったほうが幸運だったのかもしれない・・・。 プスッズリズリ・・・プスッズリズリ・・・ 鍋側に運ばれたれいむキャベツの外葉が串により固定されていく、こうしてキャベツの煮崩れを防いでいるのだ。 ここの洋食屋の人気メニュー「丸ごとキャベツのチキンスープ」の仕込みである。 このスープは丸ごとのキャベツと鶏の骨付きモモ肉を、各種香味野菜と共に煮込んだダイナミックな料理である。 作り方は固定したキャベツを大鍋の中央に鎮座させ、周囲と鍋との間に玉ネギや人参などの野菜を隙間無く詰めてゆく。 その上に骨付きチキンを乗せヒタヒタになるまで水を注ぎ、弱火でじっくりと煮込んでゆく。 そうして充分に火が通った所で少量の塩コショウで味を整えて完成、実にシンプルである。 だがそのシンプルさゆえ素材の旨味が十二分に引き出される絶品の一品である。 そのためこの店は、毎日新鮮な野菜を農家に卸して貰っているのだ。 れいむキャベツも上記のレシピ同様に鍋へと収められ、そして火にかけられた。 5分後 「んぅ~・・・ぽかぽか~・・・」 10分後 「んぅ・・・? んんん・・・」 20分後 「ゆがああぁぁぁぁ!! あぢゅいいいいいい!!?」 ここでようやくれいむは目を覚ました。 「なんでこんなにあついの!? れいむはゆっくりここをでるよ!!」 暴れてみたがキャベツの葉はピクリともしない。しっかりと固定されてしまっているためである。 ならばどうだとキャベツに齧りついたところ ジュンジュワァ・・・ 「あぢょぢょぢょぢょ!?」 れいむの口は熱せられた汁により火傷を負ってしまった。 しかし涙を流したところで現状を打破出来る訳ではない、れいむは泣きながらキャベツを齧り続けた。 シャグ、ゆぎぃ!・・・シャグ、ゆごぉ!?・・・シャグ、ゆべぇ!!目に入っだあぁぁぁ!!!・・・ そうしてキャベツ汁の熱と水分にやられ、れいむの口が真っ赤なタラコになる頃ようやっと外が見えてきた。 「ゆぅ・・・ようやくおそとにでられるよ・・・」 れいむは後悔していた。 人間の里なんかに近づいた結果不幸な目にあってしまった。 ここから出たら森へ帰ろう、そして二度と人間には近づかずゆっくりと平和な日々をすごそう。 そう決心したれいむは最後の薄皮へと歯を立てる。 プシイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ・・・・・ 「!!!???ゆげぼべばっぺぽぷぴぃいいぃ!!???」 歯がキャベツに小さな穴を穿った瞬間、熱々に熱せられた熱湯がさながらレーザーのように勢いよく発射された。 そしてそのレーザーはれいむののどちんこにピンポイントヒットを叩きこんだ。 普段触らない様なデリケートゾーン。そこへの突如として襲い掛かる激しい急襲、しかも熱々。 呼吸すら満足に出来ずれいむはエヅキながらのたうち回った。 しばらくして立ち直ったれいむは外へ出られないことを理解した。 外には熱々のお水がいっぱいある、何故こんなことになったかは解らない。 だが、今外へ出てはずっとゆっくり出来なくなってしまう・・・!!! 餡子脳にはこれが限界だったが、それでも絶望を感じるには充分だった。 そこでれいむはいつかキャベツが冷えるという僅かな希望に全て賭けて、ゆっくりとキャベツサウナに耐えるという決意を固めた。 しかしその希望は一瞬で潰えることとなった。 「・・・ゆゆ!? はっぱさん、ゆっくりがんばってね!!」 「おみずさんはいってきちゃだめだよ! ゆっくりしないでね!!」 「なんでおみずさんれいむのいうこときいてくれないのおおおお!!?」 れいむが齧ったためキャベツの強度は限界に来ている。 先程貫通した穴は真っ赤に腫れたタラコ唇が千切れ、偶然にも穴を塞いでいた。 だが饅頭の皮では長くも持たず、今まさに熱湯の浸水は再開された。 「ゆぐうぅぅぅぅっっ!!!」 とっさにれいむは自身の背中を穴へと押し付け蓋をした、熱湯に満たされてはゆっくり出来なくなってしまうからだ。 これでは背中に火傷を負ってしまうものの、命まではとられはしない。彼女の判断は最善のものだっただろう。 もし彼女がゆっくりではなければだが。 「ゆ、ゆ、ゆごおおおおぉぉぉぉ!!???」 饅頭の皮は限界に達し、れいむの体内に熱湯が勢いよく流れ込んできたのだ。 全身の餡子が熱い液体に溶かされていく苦痛にれいむは恐怖した。 しばらくしてれいむの体は2倍ほどにまで膨らんでしまった。 れいむは必死に歯をくいしばった、だがもはや限界である。 「・・・!!! うぉっろっぱあぁぁぁぁおろおろおろおろ・・・」 盛大に口から汁子を流し始めたのだ! その様はまさにぶっさいくなマーライオン!! れいむは悲しかった、頑張ったのに結局死んでしまうことになってしまった。 だが反面、ようやく楽になれるという安らぎおもこの時感じていた。 ところが・・・ (・・・!!?? なんでまだぐるじいぃのおおおおおお!!!??) キャベツに包まれているため餡子が漏れることなく、れいむは体を失ってもなお意識を保っていたのだ。 本人の気持ちとは裏腹にれいむは逝くことができず、数時間たっぷり釜茹でを味わうこととなってしまった。 数時間後・・・ 「なんだこれ・・・」 そこには怪訝な顔をした調理師達に囲まれるキャベツスープがあった。 いつも通りの丁寧な仕事で仕上がったそれは実に旨そうである。 ただ、キャベツが黒く変色していることを除いて・・・。 「キャベツの病気かなんかかね? 何か甘ったるい臭いしてるし。」 「変な汁出てますよ、これ・・・」 「これは客に出すわけにはいかんなぁ、とりあえず開けてみるか。」 そうして開かれたキャベツからは勢いよく餡子が流れ出した。 調理師達はその中から僅かに原型をとどめたリボンを見つけ出し、これがゆっくりであったことを理解した。 閉店後・・・ 「見た目はアレですが結構いけますね、これ。」 「だな。 こうなると鶏肉から逆に臭みを感じちまうがそれ以外は結構うまいな。」 れいむ入りスープは賄いとして振舞われていた、食材を無駄にしないと言う料理人のプライドである。 最初は皆おっかなびっくり恐る恐る口に運んだのだが、このスープが思いのほか旨く調理師たちの評判は上々だった。 じっくりと長時間意識のあるまま煮込まれたゆっくりの甘さは、恐怖と苦痛により極限の域に達していた。 だがそこに野菜たちの自然な風味と旨味が加わり、全体としては何とも心地よいスープに仕上がっていたのだ。 数日後・・・ この洋食屋に「丸ごとゆっくりキャベツの洋風汁粉」が追加された。 巷で噂の人気スイーツ(笑)として天狗の新聞に取り上げられるのは、また別の話である。 終われ 後書き 冒頭に書いた「赤い靴」の設定ですが、餡子がなくならなければ体がなくなっても意識が残ると言うアイデアをお借りしました。 煮込んでいる時にふと思い出して、コレだ!!ってなわけでお借りしてしまいました。 こんな駄文に勝手に用いてしまい申し訳ないっす(・ω・`) 他に書いたもの ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ ゆっくりいじめ 「ミカン」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3545.html
巨大ゆっくりの饗宴(中編)の続き 「・・・んぉ!?」 目を覚ました私の視界に広がっていたのはいつもと変わらない天井に壁に家具一式。 右を見ても左を見ても木の一本も見当たらなかった。 寝具もきっちりと布団を使っており、藁でもばければ枯葉でもない。 「・・・・・・私んち、だよなぁ・・・?」 何処をどう見ても紛れもなく饅頭の香りのこびり付いた住み慣れた我が家だ。 巨大なゆっくりが眠っているということも、超絶美人の人外社長がでっかい瓢箪を担いでいるということもない。 もちろん、触手を生やしたきもいありすの姿も、ライガーもホッキョクグマも真っ青のきめら丸姿もない。 薄暗い部屋の中で耳を澄ませば、我が家のゆっくりども寝息が聞こえてくる。 「・・・夢オチか」 それにしてもアホ丸出しのこっ恥ずかしい夢だった。 何だよ、ドスお姉さんって。ジャンプ系バトル漫画の見過ぎだ。 馬鹿馬鹿しい、寝直そう。 「・・・んあ?」 ぽよん。 横になった瞬間、そんな擬音がよく似合う柔らかいものが後頭部に当たるのを感じた。 れいむでも下敷きにしたかと思い、頭の下のものを引っ掴んで見ると・・・ 「ゆゆっ!おかーさん、ゆっかりんとゆっくりしていってね!」 「・・・誰がお母さんか」 いや、まず突っ込むべきところはそこじゃない。 我が家のゆっくりはれいむ、まりさ、すいかの三種だけのはず。 ゆっかりんなんて拾った覚えないぞ? 「・・・・・・・・・もしかして」 まさか、と思いつつもおもむろに標準的なゆっくりのサイズのゆっかりんの頬に頬擦りをしてみる。 ゆっかりんの頬、暖かいナリ。悔しい、悔しいが認める。こいつ気持ち良い。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 「お前・・・でかゆっかりん?」 「いまはちいさくてかわいいゆっかりんよ!」 「そうか、お休み」 きっとこれも夢だ。 そう結論付けた私はゆっかりんを放り投げて、再び布団の中にもぐりこんだ。 翌朝、やっぱりゆっかりんはそこにいて、夜中には気付かなかったが彼女の後頭部には変な張り紙があった。 『ゆっかりんを連れて本社社長室まで来なければ・・・・・・』 世の中には回避不可能なイベントというものが存在することを実感した。 差し出し人はもはや言うまでもないだろう。 そんな訳で大学の講義をすっぽかして本社へと赴いた私とゆっかりんは社長室に案内された。 素材は分からないが見るからに高級そうな扉を開け、中に入った私たちを出迎えたのは社長と3匹のゆっくり。 それと妙な目を胸に取り付けた、紫色の髪をちょっと野暮ったい感じに短く刈った可愛らしい女の子だった。 「れみりゃザウルスに、角の生えたきめら丸に、なんか触手が2本生えた気色悪いありすに、それに・・・」 「小五ロリではありません」 「・・・地球の男に飽きた社長のツバメ?」 我ながら半端に古い上に分かりづらいネタを振ったものだ。 それも違います、という少女の突っ込みを聞き流しつつ私は3匹の様子をじっと伺う。 「ゆゆっ!ありすきしょくわるくなんかないわ!」 「ぎゃお~!たべちゃうぞ~!」 「おお、ゆっくりゆっくり!」 見たところ、角や触手、着ぐるみを除いては何の変哲もない普通のゆっくりだ。 特徴と呼べるようなものを強いて挙げるならば、過去にどこかで見たことがあるくらいだろう。 というか、間違いなく夢だと思っていたあの時に遭遇したゆっくりだった。 「お前ら、ちょっと見ない間に縮んだか?」 そう尋ねながらありすの触手をちょうちょ結びにして、きめら丸の角に引っ掛けてやった。 「おお、不快不快」だの、「いながものおおお!」などと喚いているが相手にする必要はないだろう。 紫髪の少女が「読めなかった。無意識に・・・」とか何とかわけの分からないことを呟いている。 「ところでどうしてゆっかりんが縮んだ上に我が家に?」 「あなたの戦いを観戦していたら治療が間に合わない程衰弱しちゃったのよ」 「で、仕方ないから小型化して助けたと?」 「そういうことよ。貴女の家に・・・「言わなくても分かるんでケッコウデス」 どうせ面白そうだからとかそんなところだろう。 「んで、社長室なんかに呼び出して何の用です?」 「実は貴女に伝えておかなくちゃならないことがあるのよ」 「私に?」 「まずはこれを見て欲しいのだけれど・・・お願いできるかしら?」 何故か社長によく懐いているれみりゃザウルスの頬を引っ張りながら、彼女は少女に話しかけた。 「想起『テリブルスーヴニール』」 「・・・んお?」 少女の言葉と同時に、社長室が全く異なるつくりの研究室風の真っ白な部屋とへ姿を変えた。 社長曰く「彼女の能力でこの子達のトラウマを映像化してもらっているのよ」とのこと。 この子達、というのはもちろん例の3匹のゆっくりのことだ。 「ゆぅぅ・・・こわいぃぃ・・・」 「おお、心的外傷心的外傷」 「ぎゃおーーーーーー!!」 その証拠に真っ白な部屋を見た3匹は酷く怯えていた。 「「「「ぬふぅ!」」」」 「「「「ずっぎぢー!?」」」」 研究室風の部屋では男が一列に並んで無数のゆっくりをレイプしている。 ゆっくりの種族は様々で、胴体付きのものもいれば、うーぱっくと呼ばれる変わったゆっくりの姿もある。 そんな有象無象のゆっくりを数人の男が入れ替わり立ち代りすっきりさせていた。 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」」 「そうか。次の組に交代しろ!ゆっくりどもはケージに戻しておけ!」 「「「「了解しました!」」」」 現場監督と思しき中年男の号令に従って、男達はゆっくりを連れて部屋の外へと出て行った。 しかし、彼らと入れ替わるようにしてまた数名の男たちがゆっくりを連れて部屋へと入ってくる。 「撃ち掛け、用意!」 「「「「撃ち掛け、用意!」」」」 「「「「やめてね!ゆっくりさせてね!?」」」」 「はじめ!」 「「「「ぬふぅ!」」」」 そうして再開されるゆっくりレイプ。 その中には後のありすもいるらしく、彼女の悲鳴が聞こえてきた。 「ゆびぃ!やべで、やべでえええええ!ありぢゅ、まぢゃしゅっぎぢぢだぐないよおおおお!?」 「やめてね!ゆっくりできないよ!」 「ゆひぃ!いぢゃい!いぢゃいいいいいいい!?」 ゆっくり達は双眸からぽろぽろと涙を零しながら、その行為の中断を懇願する。 が、誰ひとりとしてやめる気配を見せず、ズンズンッとゆっくりのまむまむにモノをねじ込み続ける。 正直、胴体付き相手にそれをやっている光景は引く。 「「「「ずっぎぢー!」」」」 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」」 「そうか。次の組に交代しろ!ゆっくりどもはケージに戻しておけ!」 「「「「了解しました!」」」」 先ほどと同じやり取りの後、またしてもゆっくりを抱えた男達が室内に入ってきた。 そしてまた同じような光景が繰り広げられる。 「「「「ずっぎぢー!」」」」 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」 「こちらのれいむがにんっしんっしたと言っております!」 「そいつは真偽の確認の後にんっしんっしたゆっくり用の部屋に移送!ほかはいつも通りだ!」 「「「「了解しました!」」」」 そう言って男達が出て行くとまた別の男達が入ってきて同じ事を繰り返す。 なんとも混沌とした光景である。開いた口がふさがらない。 「「「「ずっぎぢー!」」」」 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」 「こちらのまりさがにんっしんっしたと言っております!」 「そいつは真偽の確認の後にんっしんっしたゆっくり用の部屋に移送!ほかはいつも通りだ!」 「「「「了解しました!」」」」 そう言って男達が出て行ったところで、映像に変化が表れ、にんっしんっしたまりさを追いかけてゆく。 にんっしんっ個体用と書かれたプレートのついた扉を開かれたその先には一辺70cm程度の箱が所狭しと並んでいた。 その中にはいずれも何らかの形のにんっしんっをしたゆっくりが壁際にがっちりと拘束された状態で収められている。 その体には流動食を流し込むためのチューブが取り付けられており、飢えることも渇きを覚えることもないらしい。 「どうだ。前の部屋よりずっと広いだろ?しかも、マジックミラー&防音ガラス仕様だからプライバシーはしっかり守られているぞ!」 「ゆ゛っ!?まえのおへやのほうがいいよおおおお!ぜばぐでもびんなどおはなぢがでぎだもん!?」 「にんっしんっした己の不運を呪うんだな!」 「うぞでず!ばでぃざほんどうはにんっぢんっぢでまぜんんんんん!?」 「じゃ、死ね」 男の冷酷な宣告の直後、まりさは真っ白な床に叩きつけられ、底部からの圧力で餡子を吐いてしまった。 「ゆげぇ・・・おぉ゛・・・」 「はい、さようなら」 嘔吐の苦しみから解放される間もなく踏みつけられ、更に餡子を吐き続ける。 そして、数十秒後。生命を維持するのに必要な量以上の餡子を吐き出したまりさは永遠のゆっくりへと旅立っていった。 「ったく・・・ちゃんと始末しとけよ?」 まりさを潰した男が来る以前から部屋にいた眼鏡をかけた神経質そうな男が、あるれいむが産んだ赤ゆっくり達を調べながら毒づく。 数秒後、この赤ゆっくり達も「ハズレか」という言葉と共に、床にたたきつけられ、3分にも満たないゆん生を終えた。 「なかなか産まれないな・・・」 「仕方ないさ。裏の情報網でもゆっくり人間の存在はせいぜい数体しか確認されていないんだからな」 「しかも、その情報も真偽は極めて怪しい、と?」 どうやら、この男達はゆっくり人間の製造に関する研究を行っているらしい。 そんなものを造って何がしたいのかは、きっと頭が痛くなるような理由だろうから特に知りたくもないが。 そんな馬鹿げたやり取りの後で急に場面が切り替わった。 今度はれみりゃザウルスの視点だろうか。 「ぎゃお゛~!もうだべられないどぉーっ!?」 「嫌なら食うな。その代わり死ぬだけだ」 「う゛う゛うう゛う゛うう゛ー!?」 無理矢理口を押し広げられ、その中に大量の餡子をねじ込まれる。 1回の量が私の握りこぶしくらいはあるような餡子の塊を何度も何度も。 しかし、男の手にしたバケツにはまだ10個ほどその塊が残っている。 「ほら、急いで食え!」 「う゛ー!ぎゃおー!?」 抗議しても、抵抗しても結局全て徒労に終ってしまう。 人間とゆっくりの力の差に物を言わせて強引に餡子の塊を食べさせられる。 そんな拷問を10回ほど受けたところで、ようやくバケツが空になった。 「う゛ーーーっ・・・ごんなの、えれがんどじゃないんだどぉ~・・・」 「ようやく食い終わったか。じゃあ次は運動だ」 男はれみりゃザウルスに首輪をつけると、運動用の部屋へと彼女を連れて行った。 数々の虐待用ツールの並べられたその部屋はゆっくりにとっては相当広く、運動部屋に相応しいものだった。 「さあ、走れ!」 「う゛~っ!ぐるぢぃーーー!?」 最初は拒絶していたが男に鞭で打たれ、その痛みと恐怖から逃げるようにして運動を始めた。 満腹以上の餡子を詰め込まれた体は非常に重く、下手をすれば中身を吐き出しそうになる。 が、その都度男が口を押さえつけて吐かせないようにするので叶わない。 それどころか、吐しゃ物のせいで呼吸が出来なくなってしまい余計に苦しそうだった。 「さあ、走れ!もっと走れ!」 「う゛あーーーーーーーー!?」 「でないと・・・あっちに放り込まれるぞ!」 男が指差した先には小さな窓がついていて、そこから隣の部屋の様子が伺える。 決して広くない隣室にいるのは7匹の胴体付きゆっくりれみりゃ。 1匹は1m弱の立派な成体だが、他は50cm前後の子どもだ。 れみりゃ種は基本的に陽気で、これだけの仲間が揃えば普段ならば仲良く踊っているものである。 しかし、そこにいたれみりゃ達はゆっくり特有の鬱陶しい笑みを浮かべる余裕すらなく、目を真っ赤にして泣きじゃくっていた。 「う゛ーーーー!れみりゃはぢにだぐないんだどー!おねーさまだぢがぢぬんだどー!?」 「えれがんどなおぜうざまはでびりゃだげでいいんだどーっ!!」 「でびりゃのあがぢゃん!もうげんがはやべるんだどー!!?」 スピーカー越しに聞こえてくるその音声はこれから起こる惨劇を十二分に予期させた。 そして、予期どおりの光景が目の前で繰り広げられる。 「う゛ーーーー!いだいどおおおお!?」 「えびりゃのあん゛よ゛がーっ!」 「う゛ーーーー!う゛ーーーーっ!?」 それはまさに蠱毒そのもの。 姉が妹を突き飛ばし、母が我が子を制止するために圧し掛かってぽかぽかと殴る。 たいした膂力もないれみりゃの闘争ゆえ、一見するとふざけているようにしか見えないが、徐々にそれゆえに凄惨さを帯び始める。 不可抗力で目を突き破られたあるれみりゃが床に伏して絶叫したのが、そのきっかけだった。 「うぎゃあああああああああああああああああああ!?」 「うぅ?・・・わかったどぉ!おべべをねらえばいいんだどぉ~!」 決定打を与えられない状況に業を煮やしていたれみりゃ達は、偶然によってもたらされた必殺の攻撃に頼り始めた。 姉の、妹の、母の、娘の2つしかない、流石に再生しようのないそこを狙って7匹がぶつかり合う。 抱き合ったまま転がり、相手の上に馬乗りになることに成功したものが相手の目を抉り出すが、その隙に横から目を穿られる。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 「ぎゃお゛ーーーーーー!?びえない゛いい゛い゛い!ぐらいどーーーっ!?」 「うー・・・・・・」 「ままぁ~・・・れみりゃ・・・」 数分後、そこには両目を失ったれみりゃ5匹と、片目を失ったれみりゃ2匹ののた打ち回る姿があった。 既に息絶えたものや痛みでうずくまるものにぶつかりながらも狭い部屋の中を徘徊する両目を失った母れみりゃ。 そんな地獄のような光景を見てなおも闘志を失わなかった、片目だけは何とか守り抜いた2匹は未だに争い続けている。 「う゛ーーーー!ぢね!ゆっぐりぢね!」 「えでがんどなでびりゃはぢなないんだどー!れびりゃがぢぬんだどーっ!?」 まるでゆっくりふらんのように死ねを連呼しながら揉み合う2匹。 殴り、噛みつき、踏みつけ、突き飛ばし、圧し掛かり・・・お互い、目に攻撃を当てられないながらも確実にダメージを蓄積させてゆく。 決着がついた頃には片目こそ相変わらず勝利を収めたれみりゃもまた右腕と翼を失い、全身に出来た傷から肉汁を垂れ流していた。 その後、修羅と化した(というには幾分緊張感を欠く容姿だが)幼いれみりゃは全盲の母が躓いて転んだ隙をうかがって襲い掛かった。 「う゛ーーーー!やべるんだどー!?おがーざまになにずるんだどーっ!?」 「うー!ぢね!しね!?」 「やべるんだどーっ!うーーーーーーー!?」 「ぢね!ぢね!ぢね!ぢね!?」 「うっう~・・・うー・・・」 ようやく、家族同士の殺し合いに決着がついた。 もちろん、その間もずっとれみりゃザウルスは走りっぱなしだったのは言うまでもないことだろう。 「よし、とりあえずドス食わせてみるか?」 「ほら、食え食え」 「やめてください、おおすぎます」 今度は元きめら丸視点。 彼女の隣には3m程度の大きさのドスまりさと思しき何かが逆さ向きに転がっていた。 口を塞がれた巨大饅頭は半分以上焼け焦げた底部をうねうね動かしている。 「ー!・・・・・・っ!?」 一切の移動もドスパークも封じられたドスまりさは何とか動かせる部位だけを動かして起き上がろうともがいている。 しかし、彼女の巨体はその程度では微動だにせず、そうこうしている間にも男が彼女の皮を剥ぎ取ってゆく。 更に皮を失った部分の餡子を穿り出すと、それを角の生えた・・・というよりも角を刺されたきめぇ丸にねじ込む。 「やめてください、もどしてしまいます・・・エレエレエレ」 「しかし戻したものを更に戻す!」 意味も無く叫んだ男は右手できめぇ丸を押さえ込むと左手で彼女の吐いたものを掬い、乱暴にそれを飲ませる。 流石のきめぇ丸もこれには死に物狂いで抵抗するがやはり人間には敵わず、ゆっくりにとっては酷い匂いを漂わせるそれを飲まされた。 「お、おお・・・くさいくさい・・・」 そう言いながらもニヒルな笑みは絶やさないきめぇ丸だったが、きめぇ丸特有のシェイクには普段の切れが全くなかった。 それからも色んなものを見せられた。 子どもの成長速度を強化され、ひたすら子どもを産まされ続けるれいむ。 レイパー因子を外部から投与されて後天的にレイパー化させられたありす。 この両者の交わりは1週間に140匹という驚異的な多産を可能にした。 それと同時に己の蛮行に苦しむありすと、毎日今生の別れを繰り返すれいむの心を凄まじい勢いで蝕んでいった。 「でいぶうううう!ぎょうもずっぎぢごべんなざいいいいいいいいいい!?」 「いyAあああああああああああAaaaa!?ZuggiりぢだぐNaいいいいい!?」 「「ずっぎりー!」」 「「「「「「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」」」」」」 「ゆ、ゆっくりSiていってNE!」 「だがお別れなんだな!」 「れいぶNoあがぢゃんGaああああああああああ!?」 「あぢずのどがいはなあがぢゃんんんんんんんん!?」 あるまりさ達は若手のドスまりさの用いるキノコを食べて、ドスパークの練習を強要されていた。 しかし、そのキノコを食べたからと言って簡単に撃てるような代物ではない。 「ゆ゛ヴぁ!?」 「ゆびぃ!?」 パンッ!という軽快な音が室内に響くと同時に黒いものが四散する。 言うまでも無く、ドスパークに失敗したまりさが爆ぜたのだ。 それを見たまりさ達は訳も分からずに怯え、泣きじゃくる以上のことなど何も出来ない。 運良く原因がキノコにあることに気付いて吐き出したとしても、お仕置きと称して人間に潰されてしまう。 知能強化と称して中身を増量させられたぱちゅりーの皮が破れ、そこから中身が漏れ出して死んだ。 人語を話せるように改造されたみょんとめーりんはオリジナリティがないという理由で潰された。 あるちぇんは何となく潰された。 「「「「「「「「「「ごれぢゃゆっぐぢでぎないよ!」」」」」」」」」」 そこはまさにゆっくりにとっての地獄だった。 「で、これがどうしたんです?」 それが映像を見終えた私の率直な感想だった。 確かに私はゆっくりを飼っていて、多分それなりに可愛がっている。 しかし、その一方でお菓子として食べることもある。 それゆえ、ゆっくりがいたぶられる光景に可哀相だとは思うが憤ることは決してない。もちろん、喜びもしないが。 「実は彼らはゆっくりで世界征服をたくらむ悪の秘密結社なのよ」 「・・・なんかコロコロの悪の組織みたい」 本当にあいつらは何がしたいんだろうね? ミニ四駆やベーゴマやヨーヨーで世界を征服しようって言うんだからとても正気とは思えない。 そんな馬鹿丸出しの組織が実在、それもゆっくりを用いてだなんて・・・。 「放っておけば?」 「そうしたい所なんだけれどね・・・」 と、頭をかきながら呟いた社長はおもむろに私を扇で指した。 「問題は貴女のようにドスパークを使えるゆっくり人間が誕生するかも知れないってことなのよ」 「・・・・・・ああ、なるほど」 確かにそりゃ危険だ。 キノコの一本でもあれば、酷い時にはそれすら無しに破壊光線を撃てる人間。 外見によって識別も金属探知すらも無効化し、おおよそ文明のある場所ならどこにでも侵入できる。 ついでに言うと、人間一人の侵入を完璧に阻む都市なんて存在するはずもない。 しかも、社長によると「姿を消す能力を有するドスまりさ」もいるらしい。 そんな能力を持ったゆっくり人間が悪用されてしまえばどうなるか・・・まともな脳みそを持つ人間であれば説明するまでもない。 「って、そうじゃなくて・・・」 「何の意図があって私にこんなものを見せたのか、ですね」 「アンタ、便利ね?」 異能力を身に着けたゆっくり人間が世間に出回るとどうなるかとか、ドスパークを使えることを受け入れている自分はどうなんだろうとか・・・ まとまり無く色んな事を考えていた私の思考の中から最も重要な一点を正確に代弁してくれたのは紫髪の少女。 よく見ると実に可愛らしい子だ。あ、今照れた・・・なんてやってる場合じゃない。 少女から視線を外し、改めてれみりゃザウルスをあやしている社長の顔を見つめた。 「そうそう。それで貴女に注意しておきたかったのよ」 「注意?まあ、何となく予想できるけど・・・」 「“私、狙われるかもしれない?”」 「そこは心より空気を読もうね、お嬢ちゃん・・・」 薄々感付いていても第三者に指摘されると結構へこむ。 しかし、がっくりとうなだれる私に社長は更に追い討ちをかけてくれた。 「あと・・・貴女がドスパークを使える理由なんだけれど」 「いや、別に聞きたくないから」 「却下♪」 「“力の源泉を知らないと暴走する恐れがある”」 「フォローされても聞きたくない・・・」 頭を抱える私の都合なんてお構い無しに、ついに力の正体が明かされた。 「実は・・・貴女の前世がとても有名なドスまりさだったのよ」 ・・・案外普通でほっとした。 ---あとがき--- 次回、第一の刺客リオれいむ! ドスお姉さんと謎の組織の激しい田打開の火蓋が今・・・切って落とされる!! なんて事はきっとありません。どうせ今後も緩々です。 この作品のネタ元は『ゆっくりいじめ系2023 ある少女のお話』のあとがきから 勝手にゆっくり人間を増やすのもアレだろうということで、スピリチュアルな理由付けになりましたが。 社長とか、紫髪の少女とか何かもう色々やりたい放題です。さーせん>< 【登場キャラ紹介という名の作者の独り言】 ドスお姉さん(仮) ノリと勢いで前世が饅頭になり、更に訳の分からない力に目覚めさせられてしまった酔いどれ女子大生。 今後の訓練次第では不可視化も習得できるので遅かれ早かれ極めて危険な人間兵器になる。 ゆっくりに懐かれやすいのも、ゆっくりとの交渉能力が高いのも前世がドスまりさだかららしい。 社長 ミステリアスのパーフェクト美人女社長。多くは語るまい。 紫髪の少女 テレパスっ娘。何故いると訊かれればお答えしよう。作者の趣味、と・・・。 ゆかりモス 名前を思いついたのは書き終えてから。元ネタはグラビモス。 ドスまりさ 後日談にて今後のみの振り方を明かされなかった気の毒なやつ。 テンタありす 元ネタはテンタクルス。正直、これはもうゆっくりじゃないよ・・・。 そう考えるとホ○ミスライムってすげぇなと思ってしまう。 ティガれみりゃ うん、なんだ。ティガれみりゃの人のれみりゃを可愛く書くスキルは異常だと痛感した。 きめら丸 こんな奴虐待できるかチクショウwww byゆっくりボールマン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3653.html
幸せなおちびちゃんが出てきて、最後までゆっくりできてます。 夢を見続けるゆっくりが出てきて、最後までゆっくりできてます。 虐待分少ないので脳内保管推奨の上にオチが読めまくります。 夢見るれいむ れいむには夢があった。 群れで一番でなくてもいい、ごく普通に、ごくありふれたゆっくりとして、幸せにゆっく りしたいと言う夢があった。 幼なじみのまりさと一緒に。とてもゆっくり出来るゆっくりで、黒くて大きいお帽子がと ってもすてきで、いつも自分のことを大事にしてくれるまりさ。原っぱをかけまわって、一 緒にむーしゃむーしゃして、すーりすーりして、一緒にゆっくりして。 まりさの作ったとてもゆっくり出来るおうちでふぁーすとちゅっちゅ。 夜になったら、ろまんてっくな闇の中で……。 秋の実りを蓄えて、冬の訪れを待つばかりの巣の中で、どんな子供達に育って欲しいか、 一緒に語らうのだ。 まりさとの可愛い赤ちゃんが産まれ、それはそれはゆっくりできるすばらしい赤ちゃん で。頭の上で、茎に繋がって次第に大きく成長していくおちびちゃんを、まりさはきっと 微笑ましく眺めるに違いない。だから、「とってもゆっくりしたおちびちゃん達だね」と 言って、ゆっくりとしよう。生まれる時も、とってもやんちゃで、少し危なっかしいのだ けれど、それでも一生懸命生きようと、生まれようとする大切な命を、まりさは優しく受 けとめて上げるのだ。初めて「ゆっきゅりしていってにぇ!」と言われたら、まりさと一 緒に「ゆっくりしていってね!」と言ってあげたい。すーりすーりしてあげて、くすぐっ たいと身をよじる赤ちゃんをぺーろぺーろしてあげたい。お腹がすいたと泣き出したら、 茎を柔らかくして食べさせてあげる。 そして「しあわしぇー!」と生きる喜びにうちふるえる赤ちゃんを、まりさは微笑まし く眺めるだろう。そんなまりさに、愛おしい思いを込めて、すーりすーりしたい。ゆっく りが生きていくには楽しい事ばかりじゃないけれど、辛い事しかないけれど、でもだから こそ、幸せを感じるゆっくりに育って欲しい。 春になれば、まりさは狩りに出かけることが多くなる。おちびちゃんたちはきっと、悲 しくて泣き出してしまうだろう。でもまりさが沢山ごちそうを持って帰れば、みな尊敬の 目を向けるはずだ。可愛いおちびちゃん達。 まりさは狩がおじょうずだけど、獲物が捕れない日もあるだろう。そんな時、まりさを 慰めてあげられる優しい子に育って欲しい。気落ちしているまりさの隣で、家族そろって すーりすーりすれば、些細な悩みなんて吹き飛んでしまうだろう。 ある木漏れ日の差す暖かい日に、一番上のおちびちゃんが、ゆっくり飛び跳ねることが 出来るようになるのだろう。まりさと一緒に微笑みながら、「すごくゆっくりできるね!」 と褒めて上げたい。他の妹たちも、みんな飛び跳ねようとして、うまく出来ないかもしれ ないけれど、それでもみなが自慢のおちびちゃんだ。その日はみんなでひときわ高い声で、 「ゆっくりしていってね!」とお休みを言おう。 食べられる虫さんやお花さんの見分け方を教える時、恐いれみりゃやれいぱーの話をす る時、みんな一生懸命にお勉強をするに違いない。きっとみんなとてもゆっくり出来るゆ っくりになるよ、と、子供が寝静まった後まりさに報告しよう。きっとまりさははにかみ ながら、「だってまりさとれいむのじまんのおちびちゃんだからね!」と、静かにすーり すーりしてくれるのだ。 暖かさが増してきたら、みんなで広場に出かけよう。同じ幼なじみのぱちゅりーやあり す達が、沢山の家族が思い思いにゆっくりしているだろう。彼女の子供達も、きっと凄く ゆっくりしているのだろう。そうして子供達は、姉妹の他に遊び相手を見つけるのだ。 中には、かけがえのない相手を見つける子もいるだろう。れいむとまりさのように。 お日様の下で、ちょうちょさんを追って、あるいはかくれんぼをして、一生懸命遊んだ ら、それもとてもゆっくり出来る為のお勉強だ。はしゃぎすぎて冒険に出てしまい、大人 達が探し回る事になるかもしれない。日が暮れるまで探し回って、ようやく川のほとりで ゆんゆん泣いている子を、叱るでなしにすーりすーりしてやろう。そしてそれはお姉さん のまりさで、その日に仲良くなったれいむなのだろう。少しくらいやんちゃなほうが、き っと小さい頃のまりさに似ているのだ。 おうちに帰って、まりさにそのことを話すと、やっぱり照れてしまうのだろう。そして まりさとれいむが出会った、一番大切な思い出を、我が子のせがむままに話してやるのだ。 子供達は目を輝かせて、まりさは顔を真っ赤にして、それでもとてもゆっくりした夜が過 ごせるのだろう。 だんだん暑くなってきて、食べるものがいっぱいに増えたら、おちびちゃんをつれて狩 りの練習。初めて本格的な狩りをするのだから、さすがの子供達も緊張気味なのだ。むし さんはいるかな。ちょうちょさんは待っていてくれるかな。 お姉さんが「まりさはきのこさんを取るよ!」と言うと、妹のれいむは「じゃあね、じ ゃあれいむはちょうちょさん!」と、みんなで目標を言い合うのだ。 ……ぇ、ぃ…… 森の中で、むしさんの声がすごいひびく。 まりさの狩りの特訓は少し厳しくて、でも一生懸命な子供達は少しづつだけれどもコツ を覚え始める。妹のれいむは日が傾くまでちょうちょさんを追い続けて、みんなが諦めよ うと言いかけたその時、姉のまりさがぱっくりと取ってやるのだ。にっこりと微笑んで妹 にちょうちょさんを渡す姉のまりさは、妹達から尊敬の眼差しを受けて、照れてしまうに 違いない。 本人は、夕日さんが赤いだけだよと言い張るのだけれど、そんな姉まりさに、まりさは 力強くすーりすーりをして上げるのだ。 ……ぉぉ、……ねぇぇ…… 夜は風が強くなる。 入り口が飛ばないように注意しなければならない。れみりゃやれいぱーに襲われてしま うからだ。けれどまりさは自信満々に、「とても丈夫に作ったからだいじょうぶだよ! どんなゆっくりだって入ってこれないように、わなさんだって作ったからね!」と言って いたので、何も心配いらない。 とは言え、将来子供達が住まうおうちがそこまで丈夫であるとは限らないので、出来う る限りのことを教えてやるのだ。恐い話を聞かされて、ゆっくり眠れなくなった子供達は、 きっと泣きながら、自分たちに寄り添ってくるだろう。すーりすーりしあっているうちに、 子供達は夢の中へと旅立つことになるだろう。気持ちよすぎて、自分でもうつらうつらと してしまい、まりさは呆れながらも、ゆっくりお休みと言ってくれるのだ。 明かりと言えばお月さまの青白い光だけで、星さんはあまり出ていない夜で、それは開 け放たれた入り口からよく見えて、獣のような顔をしたありすとれみりゃが入り込んでき たのだ。そして、ああこれは夢だなと思って、先ほど子供達に恐い話を聞かせたから、自 分で夢を見てしまったのだと苦笑しつつ、だってまりさが自信満々で仕掛けた罠が破られ るはずもないのだから。だずげででいぶううううとまりさは叫んでいるけど、なにかぬち ょぬちょするものに絡め取られて身動きが取れなくなっている。 子供達はと見回すと、いつの間にか居なくなっていて、みんな逃げられたんだねと、だ から夢なのだと、もう一度安心したところで目が覚めるのだ。 今日もゆっくり出来るのだと教えてくれる暖かい日差しの中で、まりさや子供達にうな されていたことをからかわれて、でもとても安心してゆっくり出来るのだ。 風が強かったのでその日は一日、おうちのなかでおゆうぎ。姉のまりさは踊りが上手。 真ん中のありすは踊りが上手。妹のれいむはお歌が上手で、みんなとてもゆっくりしてい るよと褒めて上げるのだ。 その日は大事に貯めてあったごちそうを出して、みんなでゆっくりご飯を食べるのだ。 綺麗なお花さんに、ぴかぴかしたむしさん。とてもゆっくり出来るご飯になって、子供達 もみんな満足するだろう。 みんながお花さん綺麗だったねと言うと、まりさはつい口を滑らせて、れいむもお花さ んみたいに綺麗だよと言ってしまうのだ。 幼なじみだったまりさと自分がつがいになった切っ掛けは、綺麗なお花さんだったのだ。 きらきらと光る夕日を後ろに、まりさが綺麗なお花さんをプレゼントしてくれたことは、 今でも忘れられない思い出だった。「一緒に暮らそう、れいむ! ぜったい、ぜったい幸 せに、ゆっくりにしてあげるから!」 いつも厳しいまりさがそう言ったのよ、と子供達に教えてやろう。子供達は頬を染めな がらも、幸せを祝福してくれるだろう。その後は、昔見つけた宝物を子供達に自慢してや るのだろう。まりさの一番の宝物はれいむだよ、と言って欲しいな。でも多分、プロポー ズした時に見つけた綺麗な石さんを、まりさは取り出すのだろう。 それは、一番の宝物はれいむだよ、そう言っているのと同じなのに。 ……ぃぃ……ょぉぉ…… 夜はまだ、風が強い。 恐い夢を見ないよう、まりさに寄り添って眠るだろう。すーりすーりとしてくるまりさ に、とてもゆっくりしているわと言われて照れるのだろう。一緒にすっきりしまじょうね と言われて久しぶりに高ぶってしまう。 もうすぐ実りの秋だし、子供達に妹が出来るのもいいかもしれない。狩りもうまくなっ たし、むしろ小さいあかちゃんが居れば冬ごもりの間、子供達はもっとゆっくり出来るか も知れない。ああでもやっぱり。 心地よい闇の中で、やはり夢を見た。 ……どぼじ……げでぐでだ…… あたま がおもい つたがはえて おちびちゃ ん ゆがんだ おかお だいぶくろいけど れいむはおちびちゃんと おちびちゃ ん、おちびちゃ……どこ? おちびちゃ…… ……の……ちびちゃ…… 秋になると、みなで一斉に狩りをする。 姉のまりさも真ん中のありすも妹のれいむも、みな狩りがお上手に育っているだろう。 でもやはり、まりさによく似た姉のまりさは、ぬきんでて狩りがお上手のはずだ。 自慢のかちゅーしゃに沢山の獲物をしまい込んで、得意げに跳ねるのだろう。群れに餌を 納めても、まだ十分に蓄えが出来るのだ。これなら妹達を増やしてもいいかもしれないね。 広場で仲良くなった家族と一緒に、ゆっくりと狩りをする。いつも一緒なのは、やはり ぱちゅりーとありすが番いになった、幼なじみの家族だ。四人で一緒に、小さい頃はよく 遊んでいた。大人になって、独り立ちして、家族を持ってからも、交流を続けていた。 ずっと本当は、ありすはまりさが好きだったんじゃないかなあ、と思っていた。 まりさにプロポーズされた後、ありすとぱちゅりーの二人には報告しに行ったのだ。そ のとき、少しだけありすが悲しそうな表情をしたのだった。もしかしたら、自分たちのた めに身を引いたのだろうか、と勘ぐってしまう。ありすはとても賢くて、友達思いだから。 でもすぐに笑顔になって、プロポーズのことを根堀り葉堀聞かれたのだ。二人して頬を染 めていると、とってもとかいはね、と褒められ、くすぐったかった。 だからと言うわけじゃあないけれど、ありすとぱちゅりーはすっごくお似合いに見える。 とても賢い二人は、とてもゆっくりとしていて、だからいつも四人で悩みや夢を語り合っ た。ありすはいつも引っ込み事案で、それはどうやら親がれいぱーだったことが原因だと、 知り合ってしばらく後で聞かされた。本人もいつれいぱーになってしまうか判らないと、 少し疲れた微笑みを浮かべていたけれど、悩みすぎだよ、とみんなで慰めた。ありすはあ りすで、れいぱーじゃないから。でも、もしれいぱーになったら、ああ、歪んだお顔です っきりーするんだろうなあ、と、とても不安になったことを覚えている。 湖に行った時に、自分のお顔を歪めてみたけれど、とてもじゃないけれどれいぱーみた いな表情は作れなかった。きっとゆっくり出来ないのだろうと、子供ながら身震いしたも のだ。 野いちごさん、ぶどうさん、かきさん。 秋は実りがいっぱいだ。その分、可愛い子供達の笑顔も、いっぱいになる。おうちにの 中で、ささやかなパーティーを開く。子供達が生まれて、もう一年が過ぎるのだ。「みん な、春になったらもう立派なゆっくりだよ!」そう告げるまりさの、誇らしさの中にうれ しさと、巣立ちを控えた悲しさを感じ取れるのは、多分自分だけなのだ。 子供達が寝静まってからまりさに寄り添うと、まりさは声を立てずに泣き出してしまう のだろう。すーりすーりをして、ぺーろぺーろをして、次第に高ぶる心と体に身を任せて。 ああ、でも子供達が起きないかしら。呟いたからか、とかいはだから大丈夫だよ、と言う。 闇の中で綺麗に光る金色の髪の毛をはーぐはーぐしながら、くすぐったがるまりさの頬 をすーりすーりしながら、自慢のお帽子をぺーろぺーろしながら、体中が幸せな感覚に包 まれる。空を飛んでいるよりも、湖を自由に泳いでいるよりも、もっと素敵な浮き上がる 感覚に、次第に意識が闇の中に飲み込まれて。 ああまたあの夢が。ありすがまりさとれいむにのしかかっている夢。れいむを犯してい るはずなのに、顔の一部分だけがまりさになっている。奇妙な夢だなあと思ったらすぐに 現実に引き戻される。 お顔をすり合わせて、どんどん振動が強くなって、ゆ”っ、ゆ”っとうめき声なのか快 楽の叫びなのかが漏れ出でて、まりさはよだれを垂らしながらお顔を歪めて、二人一緒に すっきりー! 闇の中で、寝入ってしまったまりさの頭からツタが生えてくる。しゅるしゅると生える 何本ものツタに、新しい命が宿るのだ。まだ実は育っていないけれども、このおちびちゃ んたちもゆっくり出来る子に育ってくれるのだろう。次第に黒ずんで行くまりさを眺めな がらふと、幼なじみのありすを思い出した。 彼女はれいぱーになることを恐れていた。幸せなすっきりー! が出来るのだろうか。 幸せに、ゆっくり出来ているのだろうか。気にしても仕方がないことだ、自分に出来るこ とは何もないが、でも親友でいることは出来るのだ。 幸せを噛み締めて、ゆっくり元気に育っている我が子を見回す。暗くて見えないが、子供 達はみな幸せそうに寝入っている。 まりさに似て芯の通った姉のまりさ。彼女はきっと群れのリーダーとなるだろう。よく気 が利く真ん中のありす。きっととてもゆっくり出来るだろう。妹のれいむは少しどじだけれ ど、幼なじみのまりさと幸せな家庭を築くに違いない。みな綺麗なかちゅーしゃがとてもよ く似合う、素晴らしいゆっくりに育ってくれた。 もう、すぐに冬がくる。 まりさが作ってくれたこの巣は、とても頑丈な入り口で、ああでもいつの間にか壊れちゃ っているから直さないと。巣の中も汚れている。いくつかの黒い塊がところどころに、ああ、 あれはおちびちゃんだったっけ。開け放たれた入り口の近くにひときわ大きい塊が、とても ゆっくりした表情の、黒く歪んだまりさが。 まりさ。……まりさ。……。 …… ……しゃん…… ……おきゃあしゃん! …… 「もう、おきゃあしゃんってば! ありしゅはありしゅよ! まりしゃじゃにゃいわよ!」 「しょうよ、ときゃいはなありしゅはれいみゅじゃないわ!」 「しょれにおきゃあしゃんはれいみゅじゃにゃいよ! しっかりしてよね、ありしゅおきゃ あしゃん!」 おちびちゃん達はたまに判らないことを言う。 お母さんはありすじゃなくてれいむだよ。 ありすはれいぱーだよ。 親友を犯して殺して巣を乗っ取るれいぱーだよ。 だかられいむはれいむで、ありすじゃあないんだよ……。 れいむはれいむで、ありすじゃあ、ない、よ。 今宵も闇に、夢を見る。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/443.html
前編 「ゆ~……ゆ~…………ゆっ?」 ある朝、ゆっくり魔理沙が目を覚ますと、見知らぬ場所に居た。いつもの家ではない。 白い壁に覆われて、真ん中に一本の柱が立っているだけの無味乾燥な部屋だ。 不安になって周囲を見ると、おにいさんが座っていた。そして、近寄っていつもの言葉を言う。 「いぬみたいにいうこときくから、ゆっくりさせてね!」 この一言から、ゆっくり魔理沙の一日は始まる。しかし、いつもなら来るはずのおにいさんの返事がなかった。 「ゆっ? おにいさん、どうしたの? だいじょうぶ!?」 もう一度呼びかけてから、身体を揺すると、ようやくおにいさんは反応を示した。 「……魔理沙か」 「まりさだよ! ゆっくりいうこときくね!」 こう言うと、直ぐに何々をしろ、と言われるはずなのに、またしても様子がおかしいままだった。 「魔理沙、俺はもう、駄目だ……」 「ゆゆ!?」 見ると、おにいさんの身体からは赤い水のようなものが流れている。 「どうしたの、なにかでてるよ!?」 「これは、お前たちでいうところの餡子だ」 「ゆぅぅ!? あんこがでちゃだめだよ! はやくもどして!」 諦めたように笑うおにいさん。 「俺は、もう駄目だ。血……いや餡子が多く出すぎた。もう長くない」 神妙な面持ちで話を聞くゆっくり魔理沙。 「だから……あそこを見ろ」 「ゆっ?」 おにいさんが指差したほうを見ると、二つの扉が開け放たれている。 「左に行くと、俺を助けられる人がいる。右に行くと……外に出られる」 「ゆ、おそと……!」 そと、それは甘美な響きであった。良いゆっくりになろうとしたのも、ひとえに外に出たいがためだった。 「魔理沙、お前が選べ。俺を助けるか、外に出るか。どうやったら、良いゆっくりになれるのか」 「でも、くびわが……」 身体にくいこんだままの『首輪』を気にする。これがある限り、いつ死んでもおかしくないのだ。 「大丈夫だ。どっちを選んでも『首輪』は簡単に外れる」 「れ、れいむは? れいむはどこにいったの?」 「それは分からない。どこかに連れて行かれたのかもしれないし、助けを呼びに行ってるのかもしれない」 「ゆゆゆ……」 ゆっくり魔理沙は悩んだ。今まで一緒だったれいむのことも気になったし、おにいさんが死んでしまいそうなことも気になった。 どうすればいいのか分からない。おにいさんに聞いてみても「お前が選べ」としか言わない。 そこで、ゆっくり魔理沙は閃いた。もう、おにいさんは死んでしまう寸前なのだ、と。だから「命令」も出せないのだ。 だったら、助けを呼んでもその間に死んでしまうだろう。それよりも早くれいむを見つけてあげたい。 もしかしたら泣いているかもしれないし、死んでしまっているかもしれないのだ。 やがて、ゆっくり魔理沙は決めた。もう『首輪』は大丈夫であり、おにいさんは駄目だ。なられいむを探しに行こうと。 「おにいさん、ごめ~んね! まりさは、れいむをさがしにいくよ! ゆっくりしんでいってね!」 おにいさんに最後の言葉を投げつけて、思い切り走り出す。 ゆっくり魔理沙は思う。まずはれいむを探すのだ。れいむを見つけて、その後はゆっくりできるおうちも探す。 食べ物もいっぱい集めて、ふたりの子供もたくさん欲しい。たくさん、たくさんゆっくりするのだ。 高鳴る思いのまま、右側の扉へ向かって駆ける。扉からは緑色が見えてくる。そして、外の景色が――― がちゃん!! 白い壁が続く通路にゆっくり魔理沙はぐちゃり、という汚らしい音を立てて叩きつけられた。 『首輪』も遅れて通路に落ちていった。 「ふぅ……今回は一匹だけか」 座った状態から立ち上がり、軽く背伸びをする。座っているのもそれなりに疲れるのだ。 歩いてゆっくり魔理沙の所へと向かう。『首輪』に引っ張られたことで中身が飛び散っている。 「おい、生きてるか」 「ゆ、っぐりぃ! どぼじでぇ!どぼじでぇぇえぇ!」 生きているようだ。ずいぶんとしぶとい。後頭部の辺りから餡子を撒き散らしていてもまだ喋れるらしい。 「何が、どうしたんだ」 「お゛ぞどぉ゛! ぐびわ゛ぁ゛!」 涙なのか、苦痛なのか分からない叫び声をあげている。 疑問に一つ一つ答えてやることにやろう。どうせ、死ぬ身だ。閻魔様への土産は必要だろうから。 「右の扉は外に続いているが、本当の出口はもっと奥だ。ここはガラスがあるから、外の景色が見えているだけだ」 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆぅ!」 ショックのためか、餡子を出しすぎているためか、ゆっくり魔理沙は痙攣し始めている。まずいな、早く説明してやらねば。 「左の扉に行けば、俺が操作して『首輪』を外した。だが、お前は右に行ったから『首輪』を外さなかった」 「ゆっ……」 「お前が本当に『良い』ゆっくりがどうかを試したんだ。そして、お前は『良い』ゆっくりにはなれなかった」 俺を助けに行っていればこんなことにはならなかったのにな、と付け加える。 その時、ゆっくり魔理沙の頭の中はぐるぐると渦巻いていた。 どうして、どうして、こんな風になったのか。れいむはどこにいったのか。 自分はどんな風になっているのか。いたいいたいいたいしんでしまう。 だれかたすけてれいむたすけておにいさんたすけて。 良いゆっくりになるから良いゆっくりでいさせてゆっくりさせて。 なりたくないあれにはなりたくないあれになったら死んでしまう。 いやだいやだいやだいやだくびわやだあれになるのはいや。 「魔理沙、お前は『悪い』ゆっくりになったんだよ。だから―――ゆっくり死ね」 「い゛や゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 わるいゆっくりには、なりたくなかった。 俺は血糊を吹いて、部屋から出た。 「おつかれっす」 「どうも。今回は一匹だけですいません」 加工場の馴染みの職員と挨拶を交わす。 「いや、今回のヤツはアクが強いってんで、一匹も無理じゃないかって皆で賭けてたんっすよ」 「ほほう、それで?」 「オレの一人勝ちっす! ま、賭けてた商品がゆっくりなんで、あんまありがたくないっすけど」 「それは確かにありがたくないですね。おっと、少し失礼」 職員との話を切って、ゆっくり霊夢の所に向かう。最後までちゃんと調教しなくてはいけない。 ゆっくり霊夢は部屋で起きていたことを全て見ていた。今も友人の死体を見て呆然としている。 魔理沙側からは見えないが、霊夢側からは見えるという、マジックミラーというものだ。 「良かったな霊夢。これでようやく『良い』ゆっくりになれるぞ」 「な゛ん゛でぇ゛」 嬉しくないのだろうか、あれだけなりたがっていたのに。まあ、無理もないが。 「どう゛じでぇ゛! ま゛り゛ざじん゛ぢゃ゛っだよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉっ!」 「魔理沙は最後の最後で『良い』ゆっくりになれなかった。だから、餡子をぶちまけて、死んだ」 ゆっくりにも分かるように、噛んで含めるように言う。これはこれで最後となるだろう。 「どぼじでぇ!? ま゛り゛ざば」 「人間の言うことを聞かない『悪い』ゆっくりになった。俺を助けなかったというのは、そういうことだ」 あれこそが最終試験。調教要件は「如何なる場合でも言うこときくゆっくり」であったからだ。 ゆっくり霊夢は『悪いゆっくり』という単語に身を震わせる。ほとんど条件反射のようなものだ。 「霊夢、お前は犬のように人間の言うことをきく『良い』ゆっくりだ。言うことを聞いていれば」 ゆっくり魔理沙の残骸を見せつける。 「あんな風には、ならない」 「れ゛い゛む゛は゛い゛い゛ゆ゛っぐり゛でず! な゛ん゛でも゛、い゛ぬ゛み゛だい゛に゛い゛う゛ごどぎぎま゛ずぅ!」 これにて、調教完了である。俺の仕事もようやく終わった。 職員にゆっくり霊夢を引き渡し、いくつかの諸注意を与える。 言うことを聞かせたら、たまに食事を与えること。 「犬みたいに」という言葉を使えば、大概のことはする。 そして、 「時々、あれをいじっておいてください。大丈夫だと思いますが、念のため」 「はあ……しかし、あんな棒切れで本当に大丈夫なんすか?」 ゆっくり霊夢は『首輪』が既に外されており、代わりに『首輪』で空いた穴へ棒が突っ込んであった。 「体内に異物が入ってる限りは言うことをきかねばならない、という条件付けしてあるので、大丈夫ですよ」 異物といっても、そこそこ大きさがあればなんでも良い。ゆっくり霊夢が錯覚さえすればそれでいいのだ。 一応、他のゆっくりに不審がられないようにあまり長くないものを差し込んである。表面から少し出てる程度の長さだ。 職員の手に持たれたまま、ゆっくり霊夢はまだ泣いている。 「じゃあな。加工所で『良い』ゆっくりとして頑張っていけ」 「な゛ん゛で、ごんなどごにお゛い゛でぐの゛ぉ!?」 加工所は危ない、『悪い』ゆっくりは加工所で殺される、と徹底的に調教したためか、加工所にはいたくないらしい。 「なんか、泣いてますけど?」 「調教し終わったゆっくりが何を言おうが知ったことではないですよ」 無視して、歩いていく。報酬は後で請求しておかなければいけない。 「ごごい゛や゛ぁあ゛あ゛ぁぁ! い゛ぬ゛みだいに、い゛う゛ごど、ぎぎま゛ずからぁ! づれ゛でっでぐだざいぃぃぃぃっ!!」 ……いい加減、うっとおしい。今度こそ本当に最後の言葉を伝えてやらねばなるまい。 「黙っとけ。俺は犬よりも猫の方が好きなんだ」 俺の言葉で「ゆ゛っ!」と一度鳴いた後、黙り込むゆっくり霊夢。 調教したゆっくりが実験や牧羊犬、または繁殖用に使われようが、どうでもよかった。 背中にゆっくりの恨みがましい視線を浴びながら、帰りの途につく。 いつか猫でも飼ってみるか、などと俺は益体もないことをなんとなく考えていたのであった。 どうでもいい後書き 前編と後編に分けてみたけれど、分量が違ってしまったのが残念。もう少し均等にしたかった。 調教っぷりが足りてないなぁ、と切に感じるね。 あんな風に書いるけど、犬は嫌いじゃないよ。猫も嫌いじゃないけど。 あと、ゆっくりも好き。むしろ好きでなければこんな話書けるわけがない。 好きだから、つい殺っちゃうんだ♪ ってな具合。 「首輪」なる代物を出してみたけれど、こんなの誰でも考えつきそうなので勝手に使って構いません。 爆弾型の首輪を使ったSSがあったら、むしろ見てみたい。誰か書いて。 「~こわい」でシリーズ化してみようかとも思ったけど、書き続けられる自信がないのでやらない。やれない。 眠いせいか、支離滅裂で脊髄反射的な後書きですいません。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/765.html
リアルに吐くゆっくり ゆっくり魔理沙がうろついていたので、お菓子を与えて手なずけてみることにした。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 もっ、もっ、とお菓子を口いっぱいに頬張り、幸せそうな表情だ。 「かわいい帽子だね」 「まりさのたからものだよ!」 得意げに頭を反らせて、ゆっ、ゆっ、と体を揺らす。 「ちょっと僕にも、かぶらせてもらえないかな」 「ゆゆっ!?」 相当大事にしている帽子らしく、ゆっくりは戸惑った様子でしばらく思案していた。 そこで、懐からさらにお菓子を取り出して、ゆっくりの目の前に放り投げた。 「ゆっくりー!」 顔を輝かせ、夢中でお菓子をガサガサと貪り始める。 その隙に、帽子を取り上げた。かぶってみると、結構ブカブカだった。草や土のにおいがする。 「ゆうう!!? まりさのぼうし! かえしてね! かえしてね!」 口の周りにお菓子のカスをつけたまま、足もとにモチモチとまとわりついてくるゆっくり。 「それはまりさのぼうしだよ!はやくぬいでね!」 とりわけ、自分以外に帽子をかぶられているのが気にかかるらしい。 しつこく何度も僕の頭の帽子に飛びつこうとしてくる。 「もうちょっとゆっくりかぶらせてもらえないかな」 僕は言ってみた。すると、 「ゆっ…!?……!! ゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくり魔理沙は飛びつくのをやめた。 さすがに名前だけあって、ゆっくりさせてほしいと言うお願いは無下にできないようだ。 ゆっくりは僕を見つめたまま、ジッとしている。正確には、僕のかぶっている帽子を見つめたまま。 しかし、三十秒もすると、ゆっくりはタラタラと汗をかき始め、やがて焦れたような表情を浮かべてモゾモゾとしだし、 とうとうまた飛び跳ね始めた。 「そろそろかえしてね! それはまりさのぼうしだよ!」 そこでまた僕は言う。 「そんなに急かされたら、ゆっくりできないよ」 「ゆゆぅ!? おにいさん、ゆっくりしていってね!!!」 何度もこのやりとりが繰り返された。 そのうちに、ゆっくり魔理沙は、どんどん落ち着きがなくなっていった。 最初のうちは三十秒ジッとしていられたのに、今はもう五秒と静止していられない。 「ゆっ……!ゆっ……!」 と体をよじって、もどかしそうに転げまわる。 体中をムズムズモゾモゾする感触が這いずり回って、相当不快なようだ。 どうやら長時間帽子をかぶらないでいると、禁断症状のようなものが出るらしい。 「おにいさん、まりさのぼうしをはやくかえしてね!」 体を地面に擦りつけたり、木にぶつかってみたりして、なんとかムズムズモゾモゾを紛らわそうとしながら、 ゆっくりは言った。 なんだか楽しくなってきてしまった。そこで僕は言った。 「よし、返してほしかったら、ここまでおいで」 僕はゆっくりを置いて駆け出した。 「ゆうぅぅぅ!? まりさのぼうし! がえぢでえぇぇぇぇ!!」 振り返ると、ゆっくりが必死で跳ねてくるのが見える。だが、そのスピードは人の走りには到底及ばない。 五分ほど軽く走った後、僕は立ち止って、ゆっくりが追い付くのを待った。 その五分後、息も絶え絶えにヨロヨロとゆっくりが現れた。 「ぜぴゅー、ぜひゅぅ、ひゅっ、ぴひゅぅ、ゆっ、ゆっぐりぃ……」 だらしなく口から舌を垂らして僕の前まで来ると、ゆっくりはベッタリと顔から地面に貼りついて、起き上がれなくなった。 疲労の極みにあるようだが、そのおかげで禁断症状の方はだいぶ紛れたようだ。 「よく追いついたね、約束通り、帽子は返すよ」 「ゆっ…ユゲフッ、ほんと!?」 起き上がり、喜びの表情を浮かべるゆっくり。 「でもちょっとトイレに行きたくなっちゃって。済ませてくるからちょっと待ってね」 「ゆゆっ、はやくしてね!!」 僕は適当な茂みを探すと、そこにゆっくり魔理沙の帽子を置き、その上にしゃがみこんで、大きい方をブリブリっと やらかした。そして、帽子のヒラヒラしたフリルの部分を適当に破ると、尻を入念に拭いて、適当に帽子に巻きつけた。 スッキリした僕は、動けないゆっくりのところまで戻ると、抱きかかえて帽子のところまで連れて行ってやった。 帽子を見た時のゆっくりの表情は忘れられない。 「ゆうううううう!!? まりさのぼうしがあああ!!どうぢでこんなことするの゛おおおお!!?」 悲痛な叫び声をあげて抗議するゆっくり。 「いやあ、手近に紙がなかったもんで。ごめんね。じゃ、またね」 ゆっくりを地面に下ろすと、僕は言った。 「おにいさん、いかないでね! まりさのぼうしをなおしていってね!まってねまってね、ゆっくりしていってね!! 」 立ち去ろうとする僕を見て、取り乱したようにゆっくりは叫んだ。 ゆっくりが必死に僕を帰すまいと叫んだ理由はわかっている。 ゆっくりには手がない。だから、物を運ぶ時は、口を使う。 つまり、ゆっくりが帽子かぶるためには、帽子の上に乗っているものを、口に入れなければならないということだ。 そうしなければ、やがて疲労も癒えてきて、また禁断症状に苦しまされることになる。 「お゛に゛い゛さんい゛がないでえ゛ええええええええ!! ゆ゛っぐり゛いいいいいいいい!!!」 あたりにゆっくりの絶叫がこだました。 (↓この後、スカトロ描写あり。まあ大したことないと思うけど、嫌な人は引き返すが吉) 僕はしばらく歩くいて帰った振りをすると、ゆっくりがこの後どうするのか見るために、再び見つからぬよう茂みのとこまで コッソリ戻った。 ゆっくりは、まだ帽子の前でためらっていた。 僕が茂みに戻ってきてからもだいぶ長い間、帽子の前でまごついていた。 僕は草むらの陰で静かに様子を窺っていた。すると、ゆっくりがピクリ、と一つ震えた。 「ゆっ」 その五秒後、今度はピクン、ピククンと二つ震えた。 「ゆっ、ゆゆっ」 禁断症状が始まったようだ。やるしかない。ゆっくり魔理沙に悲壮な決意の表情が浮かんだ―― 「ゆぉれれれれれれっ、おれれっ、ゆっ、ろろろろろろろ」 ゆっくりが嘔吐する音である。 「ゆろろぉ、ろっ、ろぉっ、ぉ……………お゛っ! お゛ろおおれっれええれれれれれれ」 詳細な描写をするつもりはない。僕も見ていて吐きそうだった。 しかし、ゆっくりは諦めなかった。何度も嘔吐を繰り返し、モチモチだった体がしおしおにしぼんできた程だったが、 とうとうブツの撤去に成功した。匂いと、布地にしみついた茶色いシミはさすがにどうすることもできなかったが。 帽子のへりを体でズリズリとせり上げ、その下に体を潜り込ませて、なんとかかぶることができた。 「ゆっくりー!」 汚れに汚れ、頬がゲッソリこけてしまったゆっくりだったが、達成感に顔が輝いていた。 どんなに汚れてしまっても、どんなに耐えがたい匂いがしても、帽子はゆっくり魔理沙の大切な宝物なのだった。 よくやったな、ゆっくり。僕は涙ぐみさえした。明日はご褒美にもっといっぱいお菓子をやろう。 もっとも、今度会ったら逃げられてしまうかも知れないけれど。 翌日、ゆっくり魔理沙は自分から僕の元へ現れた。昨日、あの後、巣に帰ったはいいが、一緒に住む家族たちに追い出されて しまったのだ。ゆっくりは非常にきれい好きな生き物なのである。 巣に入りたかったら、帽子を捨てろと言われ、宝物を捨てるなんてことは当然できず、 ゆっくり魔理沙は一人ぼっちで、夜露に濡れながら、涙を流しながら、悪臭に耐えながら、夜を明かしたのだ。 そして今は冬。巣に蓄えてある食糧がないと、ゆっくり一匹では生きていけなかった。 背に腹は代えられず、こうして僕のもとにお菓子を貰いにやってきたのだ。 「ゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 帽子を取られないように、僕から距離をとって、おどおどしながらゆっくり魔理沙が言う。 そうかあ、こいつにはもう僕しかいないのかあ。そう考えると、独りでに頬が緩んでいくのを抑えられなかった。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3463.html
ぱちゅりーの朝は、早い。 お日様も昇っていない時間、ぱちゅりーは、ゴミ捨て場を漁っていた。 目的は、本を発見し、持ち帰る事である。 お日様が出てくるような時間に漁っていては、すぐに人間に見つかってしまう。 そうなっては、ぱちゅりー程度では逃げる事は適わず、すぐ潰されてしまうだろう。だからこんな時間に活動するのだ。 「むきゅ~~~。きょうは、ごほんさんがおちてないわね……。」 がっくりと肩を落とす。ご本(新聞やチラシ)が今日は全く見当たらない。 ぱちゅりーは知らないが、今日は燃えないゴミの日である。 本当にご本を狙うならば、資源回収日か、燃えるゴミの日を狙うべきなのだ。 しょうがない、こんな日もある。ならば代わりに何か持って帰ろう。 2時間かけて、山にある群から、人のいる町まで跳ねてきたのだ。ただで帰るわけにはいかなかった。 辺りを見回していると、少し後を振り向いた辺りに、キラリ、と光る物が落ちているのを見つけた。 「これは、にんげんさんがたまにかけている、めがねというものね。」 正確には、安物の伊達眼鏡、おもちゃ眼鏡である。だが、ぱちゅりーは普通の眼鏡だと思い込んだ。 そしてぱちゅりーは、眼鏡は、ごほんを読んでいる人間さんがよく掛けている、というちょっと曲がった情報を持っていた。 自分も本を読むのだし、掛けるべきでは?という結論に辿り着いたようで、眼鏡を装着し始めた。 「むきゅきゅ。にあうかしら?」 初めて、アクセサリー(花輪)を着けた時のような高揚感が湧き上がる。鏡さんは………、残念ながら無い様だ。 早く自分のおうちに帰って、自分のおうちにある鏡で確認しよう。そんな事を思い、ぱちゅりーは踵を返す。 ガラスの反射で姿を確認しても良さそうだが、ワクワクソワソワしているようで、考えに至らなかったようだ。 ゴミ捨て場を後にし、しばらく跳ねていると、景色が全く違う事に気づいた。 「にんげんさんのもじが、よめる!?」 さっきまで、人間さんの文字の半分も読めなかったぱちゅりーだが、今は全て読む事が出来た。 これは、まれ、ではなく、とまれ。というよみかただったのね………。あれは、たこき、じゃなくて、たこやきやさん、ね。 全ての文字が読めるようになって、世界がガラリと色を変えたかのように見える。 なんでだろう?もしかして………この眼鏡のせい? 人間さんは、賢い。だが、本を読んだりする人間さんはもっと賢いはず。 ならば、本を読む人間さんが掛けているこの眼鏡は、知能をアップする為の道具ではないのか? そして、その眼鏡を今、自分が掛けている。だから今では人間さんの文字を読めるんだ! 強引な展開式だが、ぱちゅりーはそう結論付けた。 「ほかにもめがねがおちてないかしら?」 まだ、日の出までは時間がある。人間さんが活動を開始するまで余裕がある。 他にも、眼鏡を何個か見つけようと、ぱちゅりーは町を跳ね回る。 「ゆゆ?ぱちゅりーが、にんげんさんのめがねをかけてるよ?」 「なかなかとかかいはなこーでぃねーとね!」 「かっこいいんだぜ。それになんだか、かしこくなったようなかおつきだぜ!!」 「わかるよー。ぱちゅりーはすごくあたまがいいみたいにみえるんだよー。」 友達が自分を出迎えてくれた。とりあえず、挨拶しようと息を吸う。 「みんな、おはよう。ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 ん、今日は気合が入っている。普段は自分の挨拶にここまで大きな声で呼応してはくれない。これもメガネ効果だろうか? 「きょうのぱちゅりーは、なんだかきれいなんだぜ?」 「!!…もう、まりさったら、いきなりほめないでよ……!」 まりさにストレートに誉められて照れる。 「ほんとにきょうのぱちゅりーはすごいんだよー?わかってねー?」 「ふん!メガネをかけたくらいで、ありすよりとかいはだなんておもわいことね! ……まあ、でもちょっとは、とかいはにちかづいたわよ!?」 「ゆぅー・・・。れいむもうらやましいよ。れいむもメガネさんをつけたいよ!!」 「でも、ぱちゅりーのめがねはぱちゅりーのなんだぜ!!まりさもほしいけど、ゆっくりがまんするんだぜ!!」 れいむが眼鏡を欲しがっている。ふぅ・・・沢山眼鏡を拾ってこれてよかった………。 友達だからいきなり眼鏡をちょうだい、なんてことは言ってこなかったけど、欲しくて堪らないようだ。 帽子の中に隠している眼鏡を、どのタイミングで出そうか見極める。会話が終わりそうな気配で切り出したい所だが。 「でもがまんできないよ!!!!れいむは、いまからめがねをさがしにいくよ!!!」 「わ、わたしもついていくわ!!べつにありすはいまでもじゅうぶんとかいはだけど!しょうがなくよ?」 「ちぇんもいくんだよー。つれていってねー?」 「じゃあみんなでいくんだぜ!!!」 「ちょ!ちょっとまって!!!みんなのぶんもあるのよ!!!?」 危なかった。会話の流れが急すぎてついていけなかった。今にも駆け出しそうな勢いの友人達を慌てて止める。 最初から帽子の中の眼鏡を出しておけばよかった。やれやれ、と頭を振って眼鏡を帽子から落とし、友人達に渡す事にした。 ぼとぼと、と眼鏡が帽子から大量に落ちる。いろんな色や、大きさの眼鏡を見て、友人達は目を輝かせる。 「ゆ!れいむはあかいろのがいいよ!!」 「まりさはくろがいいぜ!!」 「ちぇんはちっちゃいのがいいよー?」 「ありすはとかいはなかたちのがいいわね!」 持てるだけ持ってきて良かった。20本ある眼鏡の中から好きなものを選ぶ友人達。 さすがに群全員の分は持って来れなかったが、友人達の分としては十分だろう。 「れいむは、ちょっとかがみさんでおめかししてくるよ!!」 そういってれいむが眼鏡をくわえて駆けて行った。れいむはああ見えて乙女チックだ。 まりさが目の前にいるからか、それとも淑女の嗜みか、アクセサリーを付ける時には気を使うらしい。 「ぱちゅりー、つけてみたぜ!にあうかおしえてほしいんだぜ?」 「よくにあってるとおもうわ!まりさ、すてきよ!」 ゆゆーん、と照れるまりさ。実際、本当に素敵だった。やんちゃな感じが無くなり、大人びた格好よさを醸し出している。 子供みたいな無邪気なまりさも好きだけど、紳士さを帯びた格好いいまりさも良いな、と思った。 「まりさは、ちょっとじまんしてくるんだぜ!!」 物凄い勢いで跳ねていった。なんだか物凄く気に入ってくれたようだ。ぱちゅりーも嬉しくなる。 さて、ありすはどうかしら、と顔を向ける、……とそこにありすの姿は無かった。 「『ありすは、おねーちゃんにもめがねをもっていってあげるわ!』、っていってとんでいったよー。わかるねー?」 都会派を自称しているありすは、お姉ちゃん子だ。年が離れている姉に憧れて、いつも背伸びをした発言や行動を取っている。 そして、何をするにも、お姉ちゃんがした行動を真似したがっている節がある。 眼鏡をつけるのも、まずお姉ちゃんが着けてから。お姉ちゃんを真似しないと気がすまないのかもしれない。 数本眼鏡が無くなっている。似合いそうなのを持っていって、お姉ちゃんに選んでもらうのだろうな、とぱちゅりーは思った。 眼鏡に対する収集癖もないので、特に気にしない。それより、ちぇんがまだ眼鏡を付けていない。迷っているのだろうか? 「ちぇんは、まだめがねをえらべてないの?」 「どれがにあうか、わからないよーーー。たすけてねー?」 「むきゅ……、わかったわ。いっしょにえらびましょ。」 ちっちゃい眼鏡の中からちぇんに似合いそうなのは……、やはりこのオレンジのかしら? 一番小さくて、オレンジの縁がよく映える眼鏡をちぇんの目の前に持っていく。 元々、このオレンジのが気になっていたのか、あっさりと、ちぇんはこれでいい、と頷いてくれた。 「わかるよー。なんだか、すごくゆっくりしてるよー。」 「よかったわ。………ねぇ、ちぇん?ちょっとこのおはなさんのかずをかぞえてもらえるかしら?」 そういって、十数本の花を目の前に置く。ちぇんは、というかゆっくりは、4以上の数を数えられない事が多い。 10以上数えられるのは、ぱちゅりーのような極極少数の存在だけである。 友人であるちぇんは、確か昨日までは、3までしか数えられなかったはずだ。 「いーち、にぃー・・・」 素直に数え始めるちぇん。自分は、昨日まで、10までしか数えられなかった。 だが、今日は少なくとも20までは数えられるようになっている。ちぇんはどうだ? 「さーん、しぃー、……ごー、ろーく・・・しぃーち、はーち、きゅーう、じゅー…………いっぱいだよー?わからないよー?」 「!!ちぇん!?あなたいま、じゅうまでかぞえれたのよ!?」 「わかるよー?ぱちゅりー、じゅうまでのかずがわからないんだねー?」 「ちがうわよ!!あなたは、きのうまでさん、しかかぞえれなかったのに、いまはじゅうまでかぞえれるようになってるのよ!?」 「……そういえば、そうだよーー。ちぇんはかしこくなったんだねー!?」 かしこくなった、と嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるちぇん。呑気なものだ。そう頭の片隅で思う。 ぱちゅりーはこれで確信が持てた。眼鏡をかければ、みんな賢くなれるのだ。 「どう、おかーさん。かわいくみえる?」 「きょうのれいむは、すごくゆっくりしてるよ!おかーさんのじまんのむすめだよ!」 「おにぇーちぇん、しゅごくきゃわいいよ!!」 「れーみゅも、めがにぇほしいよ!!」 「ゆふふ、わかったよ!ぱちゅりーにたのんで、めがねをどこでひろったかおしえてもらうよ!!」 「ゆっへっへ。めがねをかけてかりのちょうしもぜっこうちょうだぜ!!!」 「きょうのまりさはすごいみょん!!そのめがねのおかげかみょん!?」 「うらやましいのぜ!まりさおねーちゃんみたいなめがねを、まりさもほしいのぜ!!!」 「ちーーんぽ!!(まりさおねーちゃん、すごーい)」 「まかせるんだぜ!!みんなのぶんのめがねも、ゆっくりとってきてやるんだぜ!!!」 「ゆっゆゆー♪おねーちゃんのせんすでえらばれた、このさんかくっぽいめがねは、すっごくとかいはだわー!!」 「おにぇーちゃん、しゅっぎょくときゃいはだにぇ!!」 「ありがと!………ってあれ?おねーちゃんは?」 「おっきぃありちゅおねーちゃんは、しびゃりゃくたびにでりゅっていっちぇ、どっきゃいっちゃったよ?」 「そんな!!おねーちゃーーん!?…………うう、おいてかれちゃった。………でも、とかいはのたましいはうけとったわ……!! おねーちゃんがいなくても、むれじゅうにめがねをくばって、みんなをりっぱなとかいはにしてみせるわ!!!!」 「おにぇーちゃん!しゅぎょーい!!!」 2週間後には、群のほぼ全てのゆっくりが、眼鏡をかけるようになった。眼鏡ブームという訳ではない。 眼鏡をかけると、知能が上がるという事が解り、眼鏡装着はもはや当たり前の事になっていたのだ。 当然、群全体の生活レベルが上がった。狩りの効率が良くなった。無計画な食事もしなくなった。 外敵への対処にしても、今では数匹のゆっくりがチームを組み、武器を使う事で野犬も追い払える程レベルが上がっていた。 恐らく、これからは、冬も難なく越せるだろう。群はめがねゆっくりぷれいすと化した。 ―――その後。 ちぇんとぱちゅりーは、ミレニアム問題に挑んでいた。 実は、眼鏡をかけたゆっくりの中で一番知能の成長が良いのはちぇんだった。 ちぇんが、『わからないよー』発言をした際、ぱちゅりーが必死に何故解らないのか、どうしたら解るのかを模索し、 教え込んでいった成果である。 今では、フェルマーの最終定理も、『わかるよー。』と答える程であった。 「むきゅ、きょうも、ぽあんかれよそうにいどみましょ。」 「わからないよー………。もうむりだよー、ぱちゅりー、あきらめてねー?」 「だめよ、ひゃくまんどるをいただいて、わたしたちはゆっくりぷれいすをつくるのよ。」 ちぇんは、もうウンザリしていた。もう解らないままでいい。わかるよー。はすごくゆっくりできるけど、今の問題を わかるよー。になるには、どうしていいかサッパリ解らないのだ。出口が見えないのなら、解らないほうが幸せではないか。 だが、何度説得しても、ぱちゅりーの教育熱は冷めない。実は、フェルマーを解く際には、体罰を使い始めていた。 鞭(のようなもの)で、叩かれるのが嫌で必死で頭を回転させ、脳味噌が沸騰するくらいになって、ようやく ちぇんは、世界最高峰の頭脳レベルに達し、フェルマーを解いたのだった。 だが、それがまずかった。味を占めたぱちゅりーは、どんどん体罰の数を増やし、今では無数の体罰をすぐに使ってくる。 「ほら!!さっさと!ときなさい!!!あなたみたいなゆっくりは!これがいいんでしょう!!!」 「わがらない゛よお゛お゛お゛お゛!!!きもちいい゛い゛い゛よおお゛お゛お゛お゛!!」 問題を解くのはウンザリしてきたが、最近は鞭で叩かれるのが気持ちよくなってきたちぇんだった。 お尻の辺りを叩かれると、何故か気持ちがいい事に気づいたのは何時だったか? 体罰を使ううちに、いつの間にかサド属性のついたぱちゅりー。そして、叩かれるのが嬉しいちぇん。 最悪な組み合わせであったが、実は、この方法は効率が良く、ポアンカレ予想を1年後に解くのであった。 れいむは、ご機嫌だった。 眼鏡をかけて初めて街を歩いてみた所、数人のおねーさんに呼び止められた。 そして、眼鏡のれいむは凄く可愛いと誉められ、お菓子をたくさん貰ったのだった。 今度は誰に誉めて貰おうか?と満面な笑みで街中を闊歩していく。 「お、眼鏡を掛けたゆっくりれいむがいる。」 横から声を掛けられた。背の高いおにーさんだ。そうだ、この人に誉めてもらって、高い高いしてもらおう。 お空を飛んでるみたいで凄くゆっくりできそうだ。れいむはそう思った。 「なーに?おにーさん。ゆっくりしていってね。」 「お前は、目が悪いのか?眼鏡をかけるゆっくりなんて始めて見たよ。」 「おしゃれだよ!おにーさん、とってもよくにあっててかわいいでしょ!!?」 「んーー・・・。」 おにーさんが高い高いをしてくれた。目の前で眼鏡を良く見ているだけなのだが、れいむはたかいたかいだと喜んだ。 「度が入ってない……、な。当然か……。全く……、何も解ってないド素人が!!」 お兄さんが吼えた。れいむは何が起きたか解らずにびくっと震えた。 「ゆゆゆ!!?おにーさんどうしたの!!?」 「いいか、れいむ?眼鏡というのは、簡単に言えば屈折を変えるレンズ、そしてフレーム、その他から構成されている。 一般的には、このフレームが外見のイメージを変える訳だ。だが、まあおにーさんは、レンズこそが大事だと思っている。 こう、多少斜めに顔を向けるとレンズの屈折で、顔の輪郭が歪んで見えるんだ。それこそが眼鏡の眼鏡たる所以でね。 真正面から見ても、常に歪みが認識できるようになるには、おにーさんも時間が掛かったが………、まあいい。 つまり………、こんな伊達眼鏡は偽者だってこと。」 ぱっと、れいむから眼鏡を取り上げるおにーさん。 「ゆあああ!!れいむのめがねをかえしてね!!!!!」 「駄目だ!!こんなものは眼鏡では無い!!」 「ぞんなあ゛あ゛!めがねがないとゆっくりできないよお゛お゛お゛!!」 泣きながら、その場でぴょんぴょんと跳ねるれいむ。だが、跳ねた所で、おにーさんに取られた眼鏡は帰ってこない。 「安心しろ。俺がお前にあった眼鏡を用意してやる!!」 「いらないよお!!いまのめがねでいいよおお!!れいむのめがね、かえしてねえええ!!!」 れいむは、ぽすん、ぽすんと、おにーさんの足に体当りを開始した。 「む、教育が必要だな………。しばらくおにーさんと暮らして、眼鏡の良さをゆっくり知ろうね。」 そう言って、れいむを抱え上げ、おにーさんは自宅に向かった。 「半年一緒に暮らせば、れいむは立派な眼鏡れいむになれるよ!」 「いやあ゛あ゛あ゛!!!でいぶはもう゛おうちにかえるう゛う゛う゛う゛!!!めがねをがえじでねえ゛え゛え゛え゛!!」 まりさは、ありすから逃げていた。 「やめてね!すっきりはゆっくりできないよ!!」 「うふふふ、そんなことないわぁ!しそんをのこすことは、せいぶつにとってあたりまえのことなのよぉおおお!!」 「れいぷはやめてね!!ゆっくりできないよ!!まりさはすっきりしたくないよ!!」 「いやだわ、れいぷじゃないわよ!!あいよ!あい!このよはあいこそすべてなの!!」 こんな台詞を吐きながら、まりさはあらゆる体術を使い、ありすを避けていく。 先日など、れみりゃを単体で倒すに至ったまりさだ。身体の鍛え方、動かし方の基礎が並ではない。 一方、ありすは運動能力では多少まりさに劣っていたものの、持ち前の精神力でくらいついていた。 ありすの自慢は、組み付いた瞬間にすっきりさせる事が出来るテクニックだ。 故に、まりさは、運動能力では勝っているものの、自慢の体当りを封印され、防戦一方の状態である。 今まで数回襲われた時は、完全に逃げ切って、おうちを変えてきた。 しかし、ありすの追跡技術は突き抜けていた。匂いを辿り、足跡を辿り、勘を駆使し、探り当てるのである。 ここで倒しておかなければ、永遠に付き纏われ、いずれすっきりされてしまう。 今日は、防戦でありながらも、逃げない。ここでありすを倒す決意をもって戦う。 まりさは、戦いの未来を読める。ありすがどちらに飛ぶかを、体重移動、視線などを観察し、当てる事が出来た。 そして、今までの経験から、自分の攻撃で、相手がどう反応し、どう動くかを何となく知っている。 だから、数手先の見えるまりさは、絶対に捕まる事は無い。逃げながらチャンスを待ち、ありすを仕留めれる状況を待つ。 「まりさったら、ほんとつんでれねぇ!!こうやってつかず、はなれずのきょりをとるなんて!!じらしのてんさいだわあ!!!」 「ふん、そんなせりふはききあきたぜ!きょうこそは、そのうすぎたないくちをひらけなくさせるんだぜ!!!」 数合、ありすの攻撃を回避していると、ありすが、ガクンと体勢を崩した。 完全に地形を把握しながら戦っていたまりさは、地面の凹凸を常に考慮していたが、ありすは違う。 まりさの通った道を続いてきただけだ。凹凸にかかり、体勢をくずすのを、まりさはずっと待っていたのだ。 「いまが、ちゃんすなんだぜえ!!おちろおおおおおお!!!」 尖った枝をくわえ、跳躍する。れみりゃを一撃で倒した必殺の攻撃。狙いは、身体の中心!! だが、その時、見てしまった。―――ありすが薄く笑っているのを。ありすは体勢をくずしたフリをしていただけだった。 罠。気づいた時には遅い。何もない空間に枝を突き刺してしまう。自身も跳躍の反動で数瞬硬直してしまう。 そして、その隙をありすは逃さない。すっきりするのは一瞬。 何手か先を読めるが故に、まりさは空中で、敗北を悟った。 「ふぅ・・・。ありすのあかちゃん、ちゃんとそだててね、まりさ。ありすは、せかいじゅうにあいをひろめてくるわ・・・。 にんげんさんにかわれているゆっくりを、あいですくいだしてあげたいの。だから、ありすはいくわね。」 そう言って、ありすは、去っていった。 まりさの頭上からは茎が伸びている。知能が上がってしまった今は、自分の子供を殺す事が残酷すぎて、出来ない。 レイプされて出来た子供を、自分一人で育てなくてはいけない絶望感を抱いて、泣く事しか出来なかった。 果たして、自分は子供達を愛する事が出来るだろうか。解らない。駄目かも知れない。 群に戻って、事情を説明し、子供達を群に預けて育てようか……。だが、群に戻ったとしたら、誰の子供か聞き出されてしまう。 そしたら、レイプされたと、話さなくてはならない。 レイプされて生まれた子供達は、群の皆に受け入れられるだろうか。わからない。……駄目だ。 もう、何もかもが、解らない。そして、まりさは、眼鏡をはずした。 賢くなっても解らないというのなら、考えない分だけ、馬鹿なままの方がマシだ。 嗚呼、最初から、眼鏡なんてしなければ、良かったのか。まりさはそう、思い至った。 「みとめたくないものね。わかさゆえのあやまちというのは。」 「ゆ・・・。だれ?まりさにはなしかけてるのは、だれなの?」 見ると、黒い眼鏡を掛けたゆっくりがいた。レンズの透明度がないので表情が読めない。 「いもうとのしまつは、わたしがつけるわ。ごめんなさいね。いもうとがあんなふうになったのは、 わたしがしっかりしていなかったからだわ。ちゅうとはんぱなことだけをおしえてしまったようね。 ちゃんと、きょういくしてないままで、わたしがたびにでたりしたから・・・こんなことになってしまったのね。」 「ありすの、………おねーさん?」 「わたしは、かこをすてたおんなよ。…けど、あなたをすくうことはできるわ。あなたをゆっくりぷれいすにつれていってあげる。 ドスにかんりされてて、たべものがたくさんあるわ。こどもたちのせわも、むれのみんながみてくれるわよ。 ………こんなことしか、できないけど。あかちゃんをなかったことには、できないの。ごめんなさい。」 「……ありがとう。……ありがどう゛!!!!」 まりさは、感謝した。絶望の中から救ってくれたこの姉ありすに感謝した。 そして、安堵感から、気絶するように眠りに落ちた。 目を覚ますと、そこはすごくゆっくりできそうな場所に居た。けど、姉まりさの姿は無かった。 おうちと、たべものを用意してくれたぱちゅりーに、姉ありすについて聞いてみたが、 妹に会いに行く、の一言だけ残して行ってしまったらしい。 姉ありすは、妹を、あのありすを殺す気で、行ってしまった。 残されたまりさは、せめて姉ありすが無事で帰ってきますようにと、祈った。 ------------- 前に書いたの まりさとの平日 ぱちゅりーとおにーさん お野菜が勝手に生えてくるゆっくりぷれいす
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4687.html
※反省文と思って読んでくれればうれしいです 「ゆっくりボール」 れいむはないていた。悲しく、ひっそりと ゆっ・・・ ゆっ・・・ どうしてこんなことに? なんで? なにもわるいことしていないのに ゆっくりしていただけなのに おやさいさんをたべただけなのに・・・ ゆっくりしただけでおにいさんにおこられて あんよさんもやかれて おりぼんさんもびりびりにやぶられて・・・ なんで?なんで? 見てのとおりれいむは畑でゆっくりしていたところをを お兄さんに捕まり、家へと連れて行かれ、罰として足を焼かれさらにリボンまでお兄さんに引き裂かれたのだ その日から三日間も生ごみや草を強制的に食べさせられ 毎日ボールのごとく投げられ虐待されていた。 「ゆぅ”ぅ”ぅ”やめでえええええええ」 と今日も叫ぶれいむを無視し壁に向かって今日もキャッチボールを続けていた 「ん~そろそろ飽きてきたな。そーだ、れいむ。今止めを刺してあげるよ♪ かくごしてね」 「やだああああああああああああああ!!」 と餡子をたらしぼろぼろなれいむに言い放った。 お兄さんはれいむをつかみ外へ出た。 お兄さんはバットを構える。 ほいっとれいむを上へ上げると 「ゆぅ~ん♪おそらをとんでるみたい」 とすがすがしい声を上げるが いい具合に落ちてきたところをバットをフルスイング。 「ゆげふっ!」と絶望感丸出しの顔をし 「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」 とお星様になった にもかかわらず。 「ゆっ?れいむとんでるよ!とりさんになったよ!」 と歓喜の声を上げる。 当然のこと高度は見る見ると下がってゆき のんきな顔をしていたら 「ゆげはぁっ!!」 と落下地点である石に頭をぶつける。 「もっと・・・ゆっくりしたか・・・った」 という声を残しれいむは絶命した 一方、星になり空の彼方へと消えたれいむを見てお兄さんはおぉ、と思い 「やっぱゆっくりってその気になればボール代わりになるんだよなー」と家に戻った。 あとがき とりあえずいろいろな人の作品を見て出直してみたけど やはり進歩していないのか? でもこれでもいいんじゃない?と思った人に感謝 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/t17650/pages/17.html
タイトル 冬ゆっくり 分類 グロ 詳細 やっぱり美味しいゆっくりはいいよね c5cf48c7-s.jpg 09575a3c-s.jpg 1e49c92c-s.jpg c9740b9e-s.jpg コメント一覧 え?これで終わり? -- 光 (2012-08-26 16 24 37) 4ページ目のアングルなかなかおもろい -- 名無しさん (2012-11-18 19 21 58) ww -- 名無しさん (2013-02-16 00 39 07) これみて笑ってる奴ら狂ってるな -- 名無し (2013-04-17 17 55 18) (*1)))))) -- 名無しさん (2013-04-25 17 27 18) AHAHAHAHA、虐待者達はみんなくるってるんですよ!!wwww -- クズ虐待専門家 (2013-05-25 11 05 19) 狂ってるとか今更wwwwwww -- 名無しさん (2013-06-16 17 38 45) おもしろ! -- ゆっくり撲滅隊 (2013-06-23 00 36 20) ゆ虐を検索し見てる時点で皆同類だよ(沙*・ω・) 狂ってるさ、皆HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA -- 名無し (2013-06-24 14 36 18) 別に狂ってるわけじゃないねん。 愛に飢えてるだけやねん。 まあ、倒錯しちゃった愛やけどねんな。 -- 名無しさん (2013-07-06 09 04 03) いまいちやな -- 名無しさん (2013-07-27 17 21 44) 炙るのかwww -- 名無しさん (2013-08-20 13 13 11) 続きが気になる -- 名無しさん (2013-10-26 03 02 31) おもしろーい! -- 名無しさん (2014-01-01 13 01 45) えっ、もう終わり!?短っ!続きが気になる -- 名無し (2014-05-19 23 01 52) 短い!もっと見たいなーwwwwあと、さっぱりせえへん終わり方やなーw -- 名無しさん (2014-06-29 03 21 36) コメントしてるヤツは全員消えろ。 -- 名無しさん (2014-09-13 23 16 50) おまえもコメントしてるから死ね死ね死ねwww -- 名無しさん (2014-09-29 17 33 34) もっと漫画作れ。 -- うんこ (2015-01-03 13 17 52) 食べたくねーw -- 希少種愛で隊 (2015-03-21 19 33 40) おいしいのかな 食べてみたい でも短い -- あやか (2016-03-17 18 25 58) コメントしてるヤツは全員消えろ。 って書いてあるけどお前だって コメント書いてるじゃねーか -- 名無し (2016-03-17 21 38 30) www -- 名無しさん (2016-06-06 21 36 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1198.html
この前なんかの映画で見たのをネタに書いてみた。 季節は冬。 食糧難で飢えた大量のゆっくりが毎年町に迫ってくるので人間たちは町を土の塀で囲んだ。 しかしそれではダメだった。他のゆっくりを足場にして塀を越えてきたのだ。 一回目の防衛戦は人間たちの敗北に終わった。唯一の救いは攻めてきたゆっくりが比較的少なかったことか。 だが今回、二回目のゆっくり達の兵力は一回目の倍近くだ。今度町へ侵入されては食料が尽きてしまう。 このピンチを一人の知恵者が救った。 「すぐれた要塞というものは一つだけ弱点がある」 そう言うと塀の中で一か所だけわざと侵入できる場所を作った。 さらに侵入した先を曲がりくねった一本道にして、最終的に住人たちが土の塀を作るために掘った穴へと続くようにした。 町全体を囲えるほどの土を掘ったのだからその穴は相当深い。 そこまで作ったところでゆっくり達の襲撃が始まった。 始めどこから町へ入ろうか考えたゆっくり軍だったが、侵入口を見つけると何の警戒もせずにそこから侵入してくる。 侵入した先は一本道。たくさんのゆっくりがへし合い押し合いしながらぞろぞろと奥へ進む。 深い穴に気づいたのは先頭のゆっくりだったが、後ろから押されているので為すすべなく落ちていく。 そして町へ攻めよったゆっくり達のほとんどは深い穴へと落ち、残ったゆっくりは「ゆっくりしんでね!」と言い残して去って行った。 人間たちの完全勝利だ。 深い穴に落ちてどこにも逃げられないゆっくりはどうするか。 殺すなどとんでもない。このゆっくり共は食料だ。必要な時に釣り上げて食べるのだ。 深い穴から逃げ出したいゆっくりはロープでも垂らせば簡単に釣れるだろう。 残念なのは、この食料庫は長く持たないということか。中にいるゆっくり達は共食いを始めるからだ。 しかし問題ない。この町の罠にまた引っかかるおバカなゆっくりがいるのだから。 さらにゆっくりを収穫したいのであればこの町の罠を知らない野生のゆっくりに豪華な食事を与えたあとに 「今度は友達を呼んで帰ってきなよ。皆ゆっくりさせてあげるよ」と言って野に返せばよい。 アホなゆっくりは必ずや友達ゆっくりを引き連れて帰ってくるから。